鎌田@ミシガン州立大学大学院です。 偏差値が世間で悪者扱いされるのは、あくまで学校のランク付けを偏差値でやってし まうからだけで、それ以外には悪いことはないと思います。 南風原さんが >受験生達は,こと >の善し悪しは別にして,自分の成績が偏差値に換算されることには慣れて >いるはずです。そして,偏差値が基準集団に依存すること,集団が同じな >ら,個人の値はかなり安定したものであることなどを知っているはずです。 と言いましたが、こういう状況で偏差値が受け入れないというのは、結局は正確に学 力を測定する、あるいは正確にランク付けをする、ということそのものを受け入れな い、ということのように思えます。テスト理論では、「素点 --> 偏差値得点 --> 受 験者集団に依存しないスケールに基づいた得点」の順でスコアの質が上がっていくの は周知の通りで。 同じく南風原さんが >仮に多くの受験生が何らかの素朴概念をもっていて,それに配慮す >るために,理論的な観点からベターだと思われる方法が適用できないとし >たら,これも妙なことだと思います。 と書いたように、大元(おおもと)から動けば受験生もそれに理解を示すでしょう し、社会も受け入れ、それが世間の常識になるのではないでしょうか?一時は偏差値 得点がかなりポピュラーになりましたが、「偏差値偏重教育」という、「偏差値偏 見」によって素点主義に戻ってしまったのは残念です。素点をそのまま利用していた のでは、結局はテストも「民間信仰」にもとづいた「儀式」にすぎないと思います。 ------------------------- A. Kamata kamataak (at) pilot.msu.edu
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