南風原@東大教育心理です。 Shin-ichi Mayekawa さんが以下のように書いています: >おたずねにありました分位点差縮小法についてお答えいたします。 詳しいご説明,ありがとうございました。得点分布を累積度数のグラフで 表すことにすれば,等百分位法による2つのテストの得点の等化は,2つ の累積度数の曲線が完全に重なるように変換することですが,今回の分位 点差縮小法は,平均の最も高い科目の曲線と調整対象となる各科目の曲線 を完全に重ねるのではなく,一定の比率で両曲線を内分する曲線を求め, それを調整後の得点分布とするという方法ですね。 調整法の開発から実施まで,ご苦労様です。特に大きな混乱もなく進行し ているようで何よりです。 ところで,感想ですが,ご説明の中に > 最も大きな問題は、我が国の民間信仰に絡むもので、テストの満点は 100 点 >であり、その素点は神聖にして犯すべからずというもの(素点絶対主義)です。 のように「民間信仰」に関する記述が何個所かありますが,そうした「信 仰」あるいは素朴概念をもっているのは誰でしょうか。受験生達は,こと の善し悪しは別にして,自分の成績が偏差値に換算されることには慣れて いるはずです。そして,偏差値が基準集団に依存すること,集団が同じな ら,個人の値はかなり安定したものであることなどを知っているはずです。 とすると,素朴概念の持ち主は偏差値世代の前の世代の人達ということに なります。その世代の人で,自分自身,素朴概念からの脱却ができていな い人が,今回の決定に影響を与えたということでしょうか。(前川さんか らの回答を要求している訳ではありません。) また,仮に多くの受験生が何らかの素朴概念をもっていて,それに配慮す るために,理論的な観点からベターだと思われる方法が適用できないとし たら,これも妙なことだと思います。高等教育を受けたい人に対する選抜 なのですから,より良い方法が可能ならば,当事者=受験生の理解が得ら れるように十分な説明をすればよいのではないかと思います。 --- 南風原朝和 東京大学 大学院教育学研究科 TEL:03-5802-3350 FAX:03-3813-8807
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