鎌田@ミシガン州立大学大学院です。 岡本さんのご質問にトライします。 > 地理の50点と国語の50点は、それぞれの科目の分布における位置が同じ >という以上にどのような意味で同じなのでしょうか。 「分布」における位置が同じということではないと思います。それぞれの教科で使っ た「スケール」における値が「たまたま」同じということだと思います。両教科とも 得点の範囲とインターバルは同じですが、それらは同じスケールではないはずです。 > 45点と55点の差と、70点と80点の差が同じものを表わすというとき、分布上の >位置の変化以上のどのような意味において同じである、あるいは比較可能なの >でしょうか。 まず、素点の45点と55点の差が70点と80点の差と同じだという仮定が、一般のテスト に関しては通用しないと思います。例外は、「テストがすべて同じ難易度の項目で構 成されていて同じ配点がされている」場合か、「それぞれの項目の配点が難易度の比 を正確に反映している」場合に限られると思います。 > 試験で測られているはずのものが正規分布しているはずである、ということは、 >どのようにして確かめられたのでしょうか。 > 偏差値が理論的(?)に問題ないということは、すべての科目において >測定の対象となっているものが正規分布に従い、それらの平均と分散も >等しいということですが、これを保証するデータはどのようなものなのでしょう か。 > 上のことは、データに基づいて確認されなければならないことですが、単に >統計学的に分布が等しくその分布は正規分布であるという偏差値では、上の >尺度のscale typeとそれに関連する問題は明らかではありません。 偏差値は正規分布と全く関係ありません。素点の平均と分散を、線形変換である決 まった値にするというだけです。線形変換では分布の基本的な形は変わりません。分 散が変わることによって分布の形が両側に伸びたり、両側から押しつぶされたように はなりますが、それぞれの測定値間の順序と差の比は元の測定値のままです。つまり 元のスケールタイプと全く変わりません。 偏差値に変換することによって、違うスケールで測られたものを、お互い直接的に比 較可能にできます。しかも元の測定値間の順序とそれらの差の比を保ったままでで す。これだけでも素点よりも優れているのは明らかではないでしょうか? (それともいわゆる巷で言われる「偏差値」とは、正規化されたものですか?もしそ うだとしたら私の勉強不足ですのでご容赦ください。) -------------------------------- A. Kamata 3224-2D Trappers Cove Lansing, MI 48910 U.S.A. kamataak (at) pilot.msu.edu www.msu.edu/user/kamataak --------------------------------
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