[fpr 916] 日心RTD (Scale type)

岡本安晴

 
 
 
岡本@金沢大学です。
 
 
堀さん@香川大学経済学部[fpr 914]より:
 
>尺度とタイトルを換えました。
 
  Scale typeからscale、そして、scaleから尺度、という風に言葉が
移ると、長谷川さんのご指摘のように、scale typeの問題からずれて
いくようです。
 
 
>ということは,尺度作成の問題は取り上げないのでしょうか?
>尺度を作成するときの問題が心理学では一番大きいと思うのですが。あとは,それを
>使った処理のとき。
 
  今回の尺度は、例えば、質問紙データから作成されるような尺度に限らず、
実験データとして得られた測定値なども含むもので、心理学における「数値」の
意味について考えてみたいということです。
  心理学においては、ラットの走行時間、レバー押しの強さ、錯視量としての
長さ、重さ、などの物理量で(例えば、秒、ニュートン、ミリ、グラムなどを単位
として)測定されたデータが多くあります。しかし、走行時間が物理量として半分
になった、すなわち、速度が2倍になったからといって対応する心理量が2倍に
なった、この場合は学習が2倍進んだとか動因の強さが2倍であるとか、と考え
られるかどうかは保証されていません。
  これら物理量も含めて、心理学では数値が多く用いられています。これらの数値の
意味について考えてみようというのが南風原さんの御提案だと思います。この数値の
意味という問題は、心理学では、主としてmeasurement theoryでのscale typeの
問題などとして扱われています。
 
  南風原さんは、「[fpr 907] Scale Type / Level of Measurement」で次のように
書いておられます:
 
>こういう尺度の問題も「心理学研究の自己点検」には必要ではないでしょう
>か。
>
>測定の基礎理論でいう尺度の観点から,心理学研究で用いられている様々な
>具体的な尺度の問題をきちんと考えてみたいですね。
 
  「測定の基礎理論でいう尺度の観点」を中心にして考えていきたいと思います。
    ^^^^^^^^^^^^^^
 
  堀さん[fpr 914]より:
 
>いい加減なものほど厳密にする工夫をしなければならない。という意味でことばによ
>る測定などはその極地ですから,厳密にする工夫をする必要があります。
 
  データ分析におけるモデル構成(設定)の問題ですよね。
  「いい加減」とはどういう意味なのでしょうか、「厳密にする」とは何を
厳密にするのでしょうか、というようなことは置いておくとして、例えば、
psychophysicsではcriterionという概念を用いてモデル化が行われたり
しています。古い例では、LinkのThe wave theory of difference and similarity
(1992, pp.49 - 52)に Thomson (1920) の「軽い」、「等しい/判らない」、「重い」
の比較判断のモデルが紹介されています。
  堀さんが問題とされているのは具体的にはカテゴリカルデータの分析のこと
でしょうか。これはこれでRTDの1つのテーマとして独立に取り上げる方が
よいと思います。
 
                                                岡本安晴@金沢大学文学部
                                                C00279 (at) simail.ne.jp
 
                                                

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