[fpr 917] 日心RTD (Scale type)

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

岡本さん@金沢大学が以下のように書いています:[fpr 912]

>  反応時間の分析のときは、逆数変換がよい。なぜなら、時間の逆数は速度だから。
>という考え方があります。このときは、数値の表わす意味内容が考慮されていると
>いうことになります。

3人の被験者について,3つの条件のそれぞれで,単位時間当たりの遂行課題数
を求めた結果が下記のようになったとします。

                           被験者   条件1     条件2      条件3
                              1      1.7        1.9         2.0
                              2      4.4        4.5         5.7
                              3      6.6        7.4        10.5

1被験者内要因計画として分散分析すると,                                        
                                 
     DF             Anova SS          Mean Square     F Value     Pr > F 
      2           5.64666667           2.82333333        2.87     0.1686 

のようになって,通常の水準では有意差なしとなりますが,上のデータの逆数を
とって,1課題当たりの所要時間をデータとして同じ分析を行うと
                                                                        
     DF             Anova SS          Mean Square     F Value     Pr > F 
      2           0.00647415           0.00323708       13.79     0.0161 

のように有意差が得られます。「単位時間当たりの遂行課題数」と「1課題当た
りの所用時間」とに心理学的に異なる意味を付与することができないとしたら,
この分析結果はどちらも特定の scaling による artifact で,意味がないとい
うことになるんでしょうね。

岡本さん@金沢大学が以下のように書いています:[fpr 916] 

>  「測定の基礎理論でいう尺度の観点」を中心にして考えていきたいと思います。
>    ^^^^^^^^^^^^^^

大会でのラウンドテーブルディスカッションでは,そうした理論的観点から,実
際の心理学研究における尺度化の仕方や尺度値の分析法に関して,問題となる点
や認識すべき事柄などをご指摘,ご教示いだだければと思います。

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南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 
〒113-0033 東京大学 大学院教育学研究科
TEL:03-5802-3350 FAX:03-3813-8807

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