南風原@東大教育心理です。 岡本さん@金沢大学が以下のように書いています:[fpr 912] > 反応時間の分析のときは、逆数変換がよい。なぜなら、時間の逆数は速度だから。 >という考え方があります。このときは、数値の表わす意味内容が考慮されていると >いうことになります。 3人の被験者について,3つの条件のそれぞれで,単位時間当たりの遂行課題数 を求めた結果が下記のようになったとします。 被験者 条件1 条件2 条件3 1 1.7 1.9 2.0 2 4.4 4.5 5.7 3 6.6 7.4 10.5 1被験者内要因計画として分散分析すると, DF Anova SS Mean Square F Value Pr > F 2 5.64666667 2.82333333 2.87 0.1686 のようになって,通常の水準では有意差なしとなりますが,上のデータの逆数を とって,1課題当たりの所要時間をデータとして同じ分析を行うと DF Anova SS Mean Square F Value Pr > F 2 0.00647415 0.00323708 13.79 0.0161 のように有意差が得られます。「単位時間当たりの遂行課題数」と「1課題当た りの所用時間」とに心理学的に異なる意味を付与することができないとしたら, この分析結果はどちらも特定の scaling による artifact で,意味がないとい うことになるんでしょうね。 岡本さん@金沢大学が以下のように書いています:[fpr 916] > 「測定の基礎理論でいう尺度の観点」を中心にして考えていきたいと思います。 > ^^^^^^^^^^^^^^ 大会でのラウンドテーブルディスカッションでは,そうした理論的観点から,実 際の心理学研究における尺度化の仕方や尺度値の分析法に関して,問題となる点 や認識すべき事柄などをご指摘,ご教示いだだければと思います。 --- 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 〒113-0033 東京大学 大学院教育学研究科 TEL:03-5802-3350 FAX:03-3813-8807
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