岡本@金沢大学です。
[fpr 920]より:
> 一方反応時間の逆数を取ったとすると,それらの差は(F2-F1)/(F1+C)(F2+C)
>となります.これは要因による影響を言えるかどうかは疑問が残ります.一般
>に要因による影響(数十msec)よりもこの定数項はかなり大きい(数百msec)
>ので,この定数項の影響が混入したこの差は見るべき影響を不当に(?)薄め
>たものとなります.
南風原さんの例[fpr 917]では、差の大きい元のデータより、逆数をとった
差の小さい方で有意差が出ています。
>3人の被験者について,3つの条件のそれぞれで,単位時間当たりの遂行課題数
>を求めた結果が下記のようになったとします。
>
> 被験者 条件1 条件2 条件3
> 1 1.7 1.9 2.0
> 2 4.4 4.5 5.7
> 3 6.6 7.4 10.5
>
>1被験者内要因計画として分散分析すると,
>
> DF Anova SS Mean Square F Value Pr > F
> 2 5.64666667 2.82333333 2.87 0.1686
>
>のようになって,通常の水準では有意差なしとなりますが,上のデータの逆数を
>とって,1課題当たりの所要時間をデータとして同じ分析を行うと
>
> DF Anova SS Mean Square F Value Pr > F
> 2 0.00647415 0.00323708 13.79 0.0161
>
>のように有意差が得られます。
逆数のデータは次のようになっています:
被験者 条件1 条件2 条件3
1 0.588 0.526 0.5
2 0.227 0.222 0.175
3 0.152 0.135 0.095
[fpr 920]より:
> 反応時間がこのように影響を受ける項と定数項からなるというのは古くから
>指摘されていて,その定数項の影響を取り除くためにNeisserのvisual scanや
>Egethのvisual search,Sneiderのcost/benefit analysisというものが考案さ
>れています.
研究の目的に合わせてモデルの設定とデータの収集を行う、という方が
単純に分散分析で済ませるより望ましいですね。
反応時間を扱っているモデルは多数提案されています。
岡本安晴@金沢大学文学部
C00279 (at) simail.ne.jp
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