[fpr 945] 手回し計算機

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

豊田秀樹『調査法講義』朝倉書店 1998.4.10 \3000

は従来の調査法で触れないことも触れていてなかなかおもしろいです。
まだ途中までしか読んでません。

最初の調査法からの反論というのがなかなか気が利いてますね。
ただ,このレベルは実験計画法のように思いますが。いままで調査法のなかでは注意が向
けられていなかったところです。研究法ではこのタイプの指摘はあります。

報告書・研究発表も従来あまり触れられていません。報告書についてはちょっとあるので
すが,研究発表まではいかないですね。

上の2つの点は特に目立つ点です。

豊田さんの本業の統計的説明のほうはまだ読んでません(^^;。

あとがきなんですが,p210
>手回し計算機で因子分析をして学位論文を書いたという70年代の「武勇伝」

というところがひっかかります。東京教育大学でも1975年には計算機が入っていたので,
芝祐順『因子分析法』東京大学出版会 1972 
のfortran プログラムを使って計算機で処理しました。もとろん東京教育大学ではそれよ
り前に電子計算機は入ってました。紙テープを使っている人もみましたね。

東大なら当然,東京教育大学よりずっと前に入っているでしょうね。
またプログラムができる卓上の計算機もあって分散分析や重回帰はそういうのを使ってい
る人はもう少し前からいました。

『行動科学における相関分析法』の初版は1968年です。
1970年代に手回しというのは解せないですね。それはまさに「蛮勇」であって通常のこと
とは思えません。いかがでしょうか?

たしかに,1960年代に大学院にいた人には手回し計算機で因子分析をした人もいます。し
かし,いつ使ったという話は訊かなかったので何年ということはわかりませんが。

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