長谷川@岡山です。 毎日授業とゼミの対応に追われておりMLにはご無沙汰しておりますが 最近感じたことをひとつ: このところ、 ・「うつぶせ寝、リスク3倍」 ・「東芝の地下水 汚染、基準値の1万5600倍」 ・「【交際費支出】米の3倍、英の14倍」 ・「【喫煙者の】難聴の危険度70%高」 [いずれも6/2〜6/3の朝日新聞、【 】部分は長谷川が補足]というように、倍 率を強調する新聞見出しが目立つように感じます。 倍率はある現象が重大であることをアピールする効果をもたらしますが、あま り多用されると数値に対する「免疫」ができてしまって、本当に深刻な問題が生 じた時にそれを緊急に伝えることが難しくなってしまうのでは無いかとちょっと 心配になります。 「基準値の○○倍」などと言っても、基準値などというものは今後の研究調査 によって、1桁も2桁も引き上げられたり引き下げられたりするものであり、倍率 の基準しとしてどのていど安定的に使えるかどうか疑問が残ります。 リスクの倍率も、相対比較ばかりでなく、そもそも絶対確率としてどのくらい 危険があるのか合わせて知らせてもらわないと、どれだけ緊急性があるのか分か りにくいと思います。 いずれも比率尺度としては問題無いのでしょうが、読者に正確かつ有益な情報 を与えるという観点からみることも必要ではないかと思いました。 ---------- 長谷川芳典(岡山大学文学部心理学教室) 署名簡易版 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html
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