[fpr 997] ドライバーの反応時間の分析・検定手法について教えてください

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

松井孝雄/MATUI Takao さんが以下のように書いています:

> > 分布形はどうやら正規分布と言えそうになく、その検定手法に頭
> 
> これについて統計の授業では、分散分析の前提としては母集団が正
> 規分布していることが求められる、でも結構ロバストだからあんま
> り気にしなくてもいい、のような感じで教えられることが多いので
> はないかと思います(自分でもそんな感じで教えてしまっている...
> いいのだろうか)。しかし、いったいどこまでならやってもいいの
> かって基準を私は聞いたことがありません。

正規分布の仮定に関する頑健性については,かなり頑健であるということは
言ってよいようです。しかし,頑健性の研究というのは,ある限られた条件
設定でなされていますし,どういう結果をもって「頑健である」と判断して
いるのかという疑問は当然残ると思います。

現在のようにパソコンでいろいろな計算ができる環境では,自分の実際のデ
ータの特徴に合わせた頑健性の検討が簡単にできるので,気になる場合は,
その方法をとるのがいいのではないでしょうか。たとえば,実験群と統制群
のデータを,平均をそろえた上でプールし,相対度数分布を作ります。次に,
これを母集団分布をあらわす確率分布とみなして,各群の人数分のデータを
発生させ,検定統計量を計算します。これを繰り返したとき,理論上の棄却
域に入るデータが何回発生したかによって,実質的な危険率を推定します。
これが名目的な危険率(たとえば5%)と比べてどれぐらい違うかによって,
自分のデータ収集状況に合わせた頑健性の判断ができると思います。

ただ,上記の議論では,実際のデータ収集状況を(どんなに歪んだものであ
れ)特定の母集団分布からの無作為標本とみなしており,このメーリングリ
スト発足のきっかけとなった日心の第1回ワークショップで橘さんが問題提
起されて以来話題になってきた母集団・標本問題については棚上げにした議
論になっています。

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南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 
〒113-0033 東京大学 大学院教育学研究科
TEL:03-5802-3350 FAX:03-3813-8807

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