fprの皆様: 中山 (at) CRADLEです。 私も反応時間による検討をしているので、この議論を興味深く読 んでいます。私の意見を述べさせていただきますので、ご意見をお 聞かせ頂ければと思います。 In message <9806170715.AA00398 (at) haebara.educhan.p.u-tokyo.ac.jp>: "Haebara, T." <haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp> wrote | 私は,尺度変換はp値を得るための便法にすぎないと考えています。仮に | ある変換で母集団分布を正規化できるとしたら,その変換を施したデータ | から得られるt統計量のp値は,t分布を用いて正確に計算できます。し | かし,このp値は「正規化した場合の」という条件付きの値であり,もと | の尺度に対応する母集団分布のもとでのt統計量の分布から得られるp値 | とは一致しません。したがって,変換後の尺度では帰無仮説を棄却できる | けど,変換前の尺度ではできない,という可能性があります。 私もこの意見に賛成です。実験が反応時間による比較を目的とし ていれば、変換値で議論すれば意味が変わってしまうように思いま す。ただ、実験の目的が、何らかの反応の速さ(速度)を比較するこ とを目的とする場合は、実際に測定するのは反応時間であっても結 果の検討は逆数値で議論しても構わないのではないかと考えていま す。 私個人的には、反応時間の逆数で検討する方法は、最近まで知ら なかったのですが、いわゆる飛び値処理に都合が良いと聞いてやっ てみました。しかし、解釈については、ここで問題となっているよ うに難しいと感じました。 私の想像ですが、単に逆数に変換して計算するのではなく、途中 で平均化するなど、変換に関しての条件とか手続きがあるのではな いでしょうか。この一般的な手続きをご存知の方は、是非、教えて ください。 また、これに関して、次の方法はどのようにお考えでしょうか? 反応時間がある独立変数によって単調増加する傾向があるとします。 具体的な例としては、メンタルローテーションの反応時間が提示図 形の相対角度差によって増加するようなデータです。 2つの条件間で反応時間の増加傾向が異なることを調べるとします。 反応時間は独立変数によって直線回帰すると仮定して、共分散分析 で勾配の検定をする方法があります。 これに対して、各試行(被験者ごとなど)に回帰直線の傾き(y=ax+b のa)を求めて、これを条件間でaの平均を比較(多重比較)している ものがありました。 私個人的には、前者の方法は可能と思いますが、後者は比較可能 と考えて良いのでしょうか? ただ、実験それぞれには仮説を確かめる目的があり、その目的が 変換値も含めて議論する事になっていれば、その実験の範囲内につ いては、いかなる量で議論しても良いのではないかと考えています。 ですから、「反応時間は逆数(あるいは対数値ですか?)で評価すべ き」は、一部の本に記述があるようですが、そういうことも可能で あることを示している、と私は理解しています。 In message <9806170059.AA00482 (at) A712.ipc.hiroshima-u.ac.jp>: tosmori (at) ipc.hiroshima-u.ac.jp (森 敏=?ISO -2022-JP?B?GyRCPjwbKEo=?=) wrote | 検定の前提条件の問題に関しては、領域によって「しきたり」がずいぶん違うようで | 、例 | えば生理心理学の分野では繰り返しのある要因を含む分散分析の場合、スフェリシテ | ィ( | 分散共分散の等質性)の前提に対して厳格で、自由度のイプシロン修正か多変量分散 | 分析 | をやらないと、まともな学会誌には受理されないのだそうです。 また、森先生が書かれておられるような「しきたり」は、私のよ うな領域外の者からは見えにくい話です。 先の反応時間の扱いなども含めて、領域固有のデータ解析の方法 について、教科書レベルで記述されているものがありましたら、こ れも是非教えていただきたいと思います。 いつも、いろいろとお願いばかりですが、よろしくお願い申し上 げます。 中山 実
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。