[fpr 1010] Effect Size

豊田秀樹

豊田@立教大学です

tomonet (at) gipwc.shinshu-u.ac.jp (Tomone Takahashi) さんは書きました:
>高橋知音@信州大教育学部です。初めて投稿します。
>反応時間に関する議論を興味深く読ませていただきました。ちょっと議論の本筋から
>それてくるかもしれませんが、コメントがあったらお願いします。
>1. 有意性検定と差の大きさ
>>ところで,有意性の検定は,差の大きさの実質的な評価を目指す立場とは
>>指向性が異なりますが,変数変換をしてから検定,というアプローチは特
>>にその違いが顕著なような感じがします。この一連の議論のきっかけにな
>>った異なる条件下での運転手の反応時間の違いについては,サンプルサイ
>>ズによって有意になったりならなかったりする検定より,反応時間という
>>具体的な変数に関して差の大きさを評価することのほうが大事だと思うの
>>ですが・・・。
>これは南風原先生のご発言からの引用ですが、「差の大きさの評価」と言うことにつ
>いては分析結果にeffect sizeを併記するということでよいのでしょうか。APA manua
>l (4th edition)にも以下のようにかかれています。"Neither of the two types of 
>probability values reflects the importance or magnitude of an effect
>because both depend on sample size. (中略)You are encouraged to provide e
>ffect size information (p. 18)
>この他になにかよい方法があれば教えてください。

博士論文執筆大詰め,がんばって下さい.

場合によりけり,だとおもいますが,特にこの場合は「時間」そのものでは
ないでしょうか?たとえばA条件よりB条件のほうが平均的に20ミリセック
ブレーキ踏むのがおそくなる.それがドライバーにとって致命的かどうか..
などです.

>2. 反応時間の分析について
>私はlexical decisionやnamingにおける反応時間の実験をやっていますが、わたしが
>主に参考にしている文献(主にMemory & Cognition, Journal of Memory and Langua
>geなどに掲載されたもの)では各被験者の反応時間で平均から2SDはずれたものを除
>外して分析するというのが一般的のようです。たまたまある刺激が提示されたときに
>夕飯のことを考えていて反応が遅れたようなデータはこの手続きで排除できるという
>ことなのでしょう。また、一定時間を超えて反応がないと次の刺激が提示されるとい
>う手続きが一般的であるために、反応時間が際限なく長くなることはないということ
>もありますね。

外れ値の除去はとても難しい判断です.1つ2つ抜いただけで検定結果が決定的に
左右されます(3コぬくと有意でなくなるけど2個ならOKとか),2SDには
明確な根拠はつけられないので,外れ値の処理には恣意性の誘惑があります.

またA条件は油断を誘発する条件であるとすると,「夕食のことを考えて」外れ
値が出ることが安全の研究に本質的に重要である場合もあります(鏡映描写の場
合は右にも左にも行けず全く手が止まってしまう人がいますが,それも外れ値と
はいいづらいし,岡本さんがおっしゃるように「その事実をモデルに組み込む」の
は難しいです(できれば素晴らしいです)).一方逆変換というのは,ご存知の
ように外れ値の影響はとても少なくなります.

いま,思い付いたのですが,
検定は逆変換したデータで行い,安全性に関する考察は「反応時間」の調和平均
の差で直接解釈したらどうでしょうか?「逆変換したデータの平均の逆変換」で
すから矛盾はないし,外れ値の影響は相当抑えられます.

>「しきたり」は「しきたり」として、時間そのものについて平均を取って比較する際
>には、その意味について本質的に考慮しなければならない問題があるということがわ
>かり参考になりました。

「しきたり」は思考の経済としての意義はありますが,意味を考えない処理を誘発
する危険が有ります.データとの一期一会の出会いを楽しめるような素養が身に付
くような環境・教材を提供することがサイコメトリシャンの責務であると思うので
すが....

1つまえの小生の記事(1002番)はサブジェクトを変えるべきでした.どなたか
ご意見いただけたら幸いに存じます.

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TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
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