[fpr 1021] 笠井論文のデータ解析の問題点

豊田秀樹

豊田@立教大学です

Tomokazu HAEBARA <haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp> さんは書きました:
>南風原@東大教育心理です。
>「提示パターン」は被験者間要因ですから,上記の要因をすべて取り込んだ
>デザインは被験者間要因1個,被験者内要因4個のデザインということにな
>ります。一般に,被験者間要因の主効果の検定は,被験者内要因についてす
>べてプールして平均値をとった変数を用いて,群内の被験者間変動を誤差要
>因として行われます。だとしたら,プールされる変数に関してそれを何個の
>被験者内要因のどのような組み合わせの変数であるとして扱うかということ
>は,検定結果に影響しないと思うのですが。

被験者間要因1個,被験者内要因4個のデザインは実施できないのではないで
しょうか.「提示パターン」と「関係」「人数」「背景」「形態」はちゃんと
はクロスしておらず欠側セルが生まれるので検定そのものができないと思いま
す.結局「本研究では,被験者への負担の軽減などの観点から,計画的なデー
タ収集ができなかったので,」後略.ということなのでしょうか.わたしはこ
の表現に軽い憤りを感じます.笠井論文と非常によく似た論文に,
松原 望 1990 人間の測定,(柳井・岩坪・石塚編,人間行動の計量分析 第10章,
東京大学出版会)
という論文があります.この中に「条件を制御した社会調査法」という項があり
そのストラテジーが笠井論文とよく似ているのですが,被験者間要因で分析を完
了しています.統計学者である松原氏は複雑なことをせず,かけるべきところに
手間をかけています.
「被験者への負担の軽減などの観点から,」などというのは(表現はきついです
が)ひとのせいにしている,といわれてもしかたがないと思います.被験者間要
因を採用して汗を分析者が負担すればよいからです.「計画的なデータ収集がで
きなかった」というのなら,そのデータを使って論文を書かねばよいのです.

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TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
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