長谷川@岡山です。 Kazuhiro TANJI <tanji (at) sapporo.jwa.go.jp>さんは <199806250653.AA00223 (at) nec041.sapporo.jwa.go.jp>において "[fpr 1018] ドライバーの反応時間の分析・検定手法について教えてください-お礼" とい う題名で、 次のように書いておられます。 >丹治和博@気象協会です。 >近年のネットワークの偉大さに驚嘆するとともに、このような素人の疑問に際しまして >全国の専門家の方々から貴重なご意見をご多忙中にもかかわらず、いただきまして大変 >ありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。 総括的なお返事ありがとうございました。 この期間、毎日のように授業があって議論に参加できませんでしたが、大いに勉強させて いただきました。私なりの感想は: 反応時間の分析といっても、どんなデータにも適用できるような最適な分析法は無い。 変数変換や外れ値の処理も同様で、研究の要請によって異なるものである。 反応時間は無数に近い諸要因の結果として測定されるものであるが、当面の関心事がその うちの1つの要因に絞られるならば、外れ値の除外にも意義がある。しかし、事故の危険性 を論じるような場面ではむしろ外れ値の発生のほうに意味があり、場合によってはカテゴ リカルにデータを処理したほうがよい場合もある。 といったところでしょうか。 時間を対数変換することについてもいろいろ議論がありました。 しょせん物理的な意味での時間は人間から独立して存在するものであり、本質的に時間が 比率尺度でなければならないという必然性は無いと思います。おそらく、日常生活の中で 比率尺度としての時間の単位を決めておけば、作業量の予測、賃金の支払いなど便利な点 が多いからそう取り決められていったのでしょう。 地震のマグニチュードのように、対数変換したほうが便利な指標もありますね。 時間の場合も、対数変換したのうが日常生活にマッチするというケースもあるかと思いま す。 ※以前、時間評価をテーマに卒論を書いた学生が居りましたけれど、数秒から数分程度の 時間の長さを線分で評価することが本当に人間にできるのかどうか、本人に質問したこ とがあります。ひょっとして、人間にできることは、複数の事象の時間的な順序関係の 把握だけで、あとは別の物理現象を手がかりにして間接的に評価しているにすぎないの ではないか、といった疑問です。(←この部分は、単なるひとりごと程度に受け止めて ください。) 少々脱線しましたが、気象上の種々の現象について、今後も面白い話題を提供していただ ければ幸いです。 ---------- 長谷川芳典(岡山大学文学部心理学教室) 署名簡易版 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。