岡本@金沢大学です。
[fpr 1022]より:
>※以前、時間評価をテーマに卒論を書いた学生が居りましたけれど、
> 数秒から数分程度の
> 時間の長さを線分で評価することが本当に人間にできるのかどうか、
> 本人に質問したこ
> とがあります。ひょっとして、人間にできることは、複数の事象の
> 時間的な順序関係の
> 把握だけで、あとは別の物理現象を手がかりにして間接的に評価して
> いるにすぎないの
> ではないか、といった疑問です。(←この部分は、単なるひとりごと
> 程度に受け止めて
> ください。)
上記の御指摘は、psychophysicsにおける基礎的で大事な問題だと思います。
Cross Modality Matching は上のような評価ができる、という考え方に
基づくものです。
しかし、この考え方は、Laming (1997) 'The measurement of sensation',
Oxford University に従うと、疑わしいものということになります。
去年の基礎心理学会での発表会場で、ある数理心理学の先生から、
「そのようなこと(昔ながらの弁別実験と弁別モデルによる感覚の尺度の
検討)はもう止めて、ニューラルモデルを用いた感覚の研究をしなさいよ」
とアドバイスを頂いたことがあります。私は、「まだ、未解決で基礎的な
問題がたくさん残っております」とお答え致しました。
いくら、今流行のニューラルモデルといっても、そのシミュレーションの
対象となっている、例えば、感覚についての基礎的な知見があやふやであれば、
それは単なるお遊びということになってしまいます。
岡本安晴
c00279 (at) simail.ne.jp
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