長谷川@岡山です。 専門に近い方からの正確なフォローがあると思いますが、私の体験を少々。 長沼 君主 <naganuma (at) geocities.co.jp>さんは <35ACEF48398.A0EANAGANUMA (at) po.interlink.or.jp>において "[fpr 1035] 標準偏差についての質問" という題名で、 次のように書いておられます。 >質問というのは、(標本)標準偏差の求め方のことなのですが、 散布度の指標である考える限りは、標準偏差も四分位偏差も平均偏差もみなそれぞれ意 味があり、標準偏差を用いる理由づけは、それ以上のレベルの統計処理を行う際の 有用性という観点から説明すればよいかと思います。 いろんな実例を示して、どの指標がバラツキのどういう特性を反映するか、比較しなが ら説明されればよろしいのではないでしょうか。 >なお、先ほどの説明で、総和を求めた後、n-1で割る話もしたのですが、 >そこでもなぜ n ではなく、n-1なのかということについて、自由度の話を >したところ(講談社ブルーバックスの「推計学のすすめ」(p.69)を参考に >しました)、いまいち理解してもらえませんでした。 記述統計のレベルで標準偏差を扱うのであればn-1で割る必要はありませんよね。 推定という観点から考える場合には、 ・不偏性の概念をまず説明し、 ・母平均の値が分かっていない時に標本分散から不偏推定量を求める場合には n-1で割らなければならないということを数式で証明する。 ・不偏分散の平方根をとっても標準偏差の不偏推定量にはならないが、正規母集団にお いては、....... というのがオーソドックスな教え方かと思います。 もっとも、昔、コンピュータ関係の専修学校でこの証明を黒板に書いて説明しました が、誰一人として分かってもらえませんでした。 森・吉田さんの「データ解析テクニカルブック」(北大路書房)50ページの説明ならば もう少し直感的な理解が得られるかもしれません。 別のやりかたとして、パソコンを用いて、nで割った値では大きめに出るがn-1で割ると (分散が)本当に一致するのだということを、シミュレーションで理解してもらうこと は可能かと思います。 結局、教える学生のレベルによるのかもしれません。 あと統計パッケージソフトや関数電卓ではn-1で割った値が出力されるということにも 注意を喚起する必要があるかと思います。 ---------- 長谷川芳典(岡山大学文学部心理学教室) 公用 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp 私用 http://www4.justnet.ne.jp/~hasep/WELCOM.HTM hasep (at) ma4.justnet.ne.jp
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。