岡本@金沢大学です。 先のメールの訂正です。申し訳御座いません。 [fpr 1060]より: >1)この場合、因子の抽出数は5つと定めて確認的に行ったのですが、 >それでもやはり1回の調査ごとに因子分析を行わなければならないの >でしょうか。 >2)300個のデータを用いて因子分析を行ったのですが、10個は >同一人物のデータであるわけで、 >ここに問題はないのでしょうか。 >3)疑問の1)と関連しますが、50項目に対して30人なので、 >1項目あたりの情報量は >1人分がないとも思われますが、少ないでしょうか。 >4)疑問の2)とも関連しますが、300個のデータで算出した因子 >得点を個人内変動を見る >対応のある2要因分散分析で行うことは許されるでしょうか。 >因子得点の算出はあくまでも300個の独立したデータであると >思われますが、 >分散分析の時点で対応のある計算を行うと、仮説に矛盾を生じない >でしょうか。 因子分析の結果の変化を調べたいということだと理解しました。 因子分析の結果の変化として、まず、因子構造・パターンに変化が見られる か、ということになります。 このための分析法として、 柳井ら(1990)「因子分析:その理論と方法」、朝倉書店 の6.2節「多群データの同時分析」にJoreskogのものが説明されています。 因子構造・パターンが同じだからといって、対応する因子が同じものを 表わしているということにはならないのですが、同じ項目群に対する パターン・構造が同じであれば、対応する因子も同じものを表わしている と解釈してよいのでは、と思います。 しかし、データの独立性の問題があります。 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ < <注>上の文は、Joreskogの方法についてのものです。> もっと直接に同じ因子であるということの保証を求めるのであれば、 まとめて一緒に因子分析することになると思います。つまり、 (50項目*10回(=500変数)) * 30名(データ数=30) の形で因子分析します。 30名というのは少ないようですが、変数が500ですので、データとしての 制約は十分にあるのではと思います。シミュレーションなどで確認して 下さい。私が行った一対比較の実験のシミュレーションでは項目数が 多くなると対当たりのデータ数は少なくても分析結果は安定していました。 因子分析の結果に基づいて、各因子に対応した項目のグループ分け が行える(SD法の場合は各因子に対応した項目があります)なら、 各グループの項目の平均得点を分散分析にかけるという方法も あるのでは、と思います。 因子得点を分析するといっても、その因子が問題としている構成概念 に直接対応しているという保証はありません。構成概念に対応している というのは因子構造・パターンからの解釈・推測です。また、対応して いるということは、構成概念そのものを表わしているということではなく、 それに近いものであるということだと思います。 それなら、構成概念に近い項目の平均得点を直接分析するというのも よいのではと思いますが。 平均値の分析ではちょっと簡単過ぎるというのであれば、回帰分析 (GLMとかREGRESSIONなど)を使ってプロフィール分析 を行うという方法もあります。 岡本安晴 c00279 (at) simail.ne.jp
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