[fpr 1068] SEM応用事例

豊田秀樹

豊田@立教大学です.

学会の特別セッションのお知らせです.少し長いので,恐縮です.

日本行動計量学会大会では、共分散構造モデルに関して、これまでもたびたび特別
セッションを企画し、 P.ベントラー博士やM.ブラウン博士を招聘し、講演会・チュ
ートリアルセミナーを開催した。一方、共分散構造分析による実質科学的な因果モデ
ルも日本行動計量学会大会において毎年提案されている。それ等の研究は「社会」「
心理教育」「交通」「医療」……等の実質科学的なテーマのセッションで発表される
ことが多い。もちろんその分類には意味があるが、共分散構造分析を利用して実質科
学的に有効なモデルを如何に構成するかという観点からは、個々のモデル構成に際し
て苦労した点・工夫した点・留意点・他の分野でも有効なモデル構成のテクニック等
が広まらず、残念である。

そこで本セッションでは、市販されているソフトウェアを利用した(プログラムを書
き足さない範囲の)モデル構成例を、特に実質科学的な解釈の興味深さという観点か
ら、初心者に対する注意点、実質科学的な解釈・仮説の表現のコツ・工夫、モデル構
成の楽しさ苦労話などを 17 件発表していただく。慣例として行っている特別セッ
ションの規模よりも少し大きなリレーセッションを企画した。理論的な側面は少数の
原著論文によって進歩するけれども、実質科学的に有効なモデルを構成するための知
見は、ある程度の事例が集中しないと進歩しないという性質のものだからである。

現在、我が国の調査・実験研究の解析方法に共分散構造分析が頻繁に使用されはじめ
ている。ペンティアムを利用した計算機を使用すれば実用的な規模の共分散構造モデ
ルの解の計算は数秒から数十秒で済んでしまう。ソフトウェアもウインドウズの GUI
 を取り入れて日進月歩で使い易くなっている。ユーザーに線形代数の知識をほとんど
 要求しないソフトウェアが主流である。以上のような現状を鑑み、これまで我が国の
 共分散構造分析の発展の牽引車的役割を果たしてきた日本行動計量学会大会で「共分
 散構造分析を利用して実質科学的に有効なモデルを如何に構成するか」というテーマ
 を扱うことは時期を捕らえていると考えられる。

参加費 (大会全体で)
正会員 6000 円  準会員 4000 円  賛助会員 6000 円 非会員 7000 円 

1990年以降,「これは面白い応用例だ!」とおもった研究をノートしておき,
今回はその著者の方達に声をかけて勢揃いしていただきました.応用的研究とし
ては最高水準の出来栄えの事例ばかりです.またノースキャロライナ大学の
ボレン教授の講演もあります.詳しくは

http://ir.sr.rikkyo.ac.jp/bsj98/invite2.html

を参照して下さい.企業で研究をなさっている方に,特にお勧めいたします.

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日時:1998 年 9 月 16 日,午前 9 時開始 ( 8 時 45 分開場 )
場所:東京都豊島区西池袋3-34-1 
   立教大学池袋キャンパス(JR池袋西口より徒歩 7 分)
会場:7201 教室( 7 号館 1 階)
定員:282 人,  実行委員会側担当者:豊田秀樹(立教大学)

特別リレーセッション 共分散構造分析(1)−社会・医療−
コーディネーター・座長  豊田秀樹(立教大学) 
 9:00  社会調査における満足感関連項目の因果分析	 前田忠彦(統計数理研究所)
 9:15  静岡県の学童・生徒を対象としたアレルギー疾患調査データを用いた共分散
    構造分析 ○白石安男(東京理科大学)稲葉 裕(順天堂大学)
 9:30  MIMICモデルを用いた自治体総合計画書の特徴に関する要因構造の分析 
    兼田敏之(名古屋工業大学)
 9:45  人事評価の満足を決めるもの 井出 亘(大阪府立大学)
10:00  公平感の共分散構造分析 宮野 勝(中央大学)
10:15  交通計画策定プロセスに対する市民参加意識の日米比較 
    ○寺部慎太郎(東京大学)屋井鉄雄(東京工業大学)
10:30  指定討論:大津起夫(北海道大学) 
10:45  指定討論:狩野 裕(大阪大学) 
11:00  質疑応答
11:20	 リレーセッション(1)終了

11:30	 招待講演,講演者:Kenneth A. Bollen(ノースキャロライナ大学),
    司会:狩野 裕(大阪大学)
12:30	 昼休み
		
特別リレーセッション 共分散構造分析(2)−産業・市場−
コーディネーター・座長  石塚智一(大学入試センター) 
13:30  職場内小集団活動の活性化のためのアンケート調査データの解析 
    ○猪原正守(大阪電気通信大学)天坂格郎(トヨタ自動車)
13:45	 主観的・潜在的要因を考慮した交通機関選択行動の分析 
    ○佐々木 邦明・森川 高行(名古屋大学)
14:00	 企業評価モデルPRISMの開発 ○鈴木督久(日経リサーチ)
    長田公平(日本経済新聞社)
14:15	 高速道路経路選択行動における意思決定要因評価への共分散構造
    分析手法の適用 西井和夫・○近藤大介(山梨大学)
14:30	 自動車用インテリア評価構造の分析 早野陽子(日産自動車)
14:45	 個人消費低迷の因果分析 柳原良造((株)マーケッティング・サービス)
15:00	 指定討論:岸野洋久(東京大学) 
15:15	 指定討論:岩崎 学(成蹊大学) 
15:30	 質疑応答
15:50	 リレーセッション(2)終了

特別リレーセッション 共分散構造分析(3)−心理・教育−
コーディネーター・座長  楠見 孝(東京工業大学) 
16:00	 社会人を対象とした進路意識モデルの構築 
    ○椎名久美子・鈴木則夫・柳井 晴夫(大学入試センター)
16:15	 高校教科が専門で必要とされる資質に及ぼす影響 
    鈴木則夫(大学入試センター)
16:30	 高校生のテスト不安に関する因果モデルの構成 
    平山祥子(清和女子短期大学)
16:45	 バニラカップアイスの官能評価モデル ○真柳麻誉美(女子栄養大学)
    鈴木督久(日経リサーチ)古我可一(女子栄養大学)
17:00	 成績・状態 − 特性不安の自己評価への影響 清水和秋(関西大学)
17:15	 指定討論:椎名乾平(早稲田大学)
17:30	 指定討論:南風原朝和(東京大学)
17:45	 質疑応答
18:05	 リレーセッション(3)終了		

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TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
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