[fpr 1078] SEM応用事例

岡本安晴

岡本@金沢大学です。

  "[fpr 1077] Re: SEM応用事例"より:

>もう少し質問の意図・目的を詳しく説明していただけますか
>モデルによっては尤度がいくらでも大きくなる可能性があるか
>否かということですか
>収束した点が最大値であることを証明できるかということですか
>あるいはそれ以外の意味ですか

  意図・目的は

    悪いモデルの場合、何故なかなか収束しないのか
    ということについて理由が分かっていたら知りたい

ということです。

  尤度は確率ですから、1が上限になりますので、いくらでも
大きくなるという可能性はない、ということになります。

  ただ、上に有界であっても、パラメータ値が有界な閉集合でない
場合は最大値がないということもあります。

  例えば、因子分析の場合、因子が直交しているときは因子負荷量は
絶対値が1以下ということで有界な閉集合内にパラメータ値を考える
ことができます。しかし、斜交因子の場合はこの制限が無くなる、因子
負荷量の絶対値はいくらでも大きくなりうる、ということになります。

  パラメータ値が有界でないならば関数値が有界であっても最大値は
存在しないことがあります。
  例えば、

      f(x)=-1/x

は、xの範囲を1以上としたとき、xを大きくしていくとf(x)も
いくらでも0に近づいて大きくなりますが、最大値はとりません。

  共分散構造分析の場合も、変数が直交しているときはパラメータ
値が有界で最大値が存在するが、直交していないときはパラメータ
値が有界でなくなり尤度の最大値の存在が必ずしも保証されるわけ
ではない、というようなことがないのか、という疑問です。

  もし、上のような事情で最大値存在が保証されていないのでしたら
いくら探索しても収束しないという理論的可能性もあります。


  収束した値が最大値か、あるいは単に極小値の1つであって
最大値ではないのか、ということは、探索法の収束判定基準が
局所的なもの(導関数の絶対値の最大値が設定値以下など)なので
分からないと思います。
  初期値を変えたり、収束点からのランダムな撹乱による関数値
の変化を調べたり、といった作業が理屈の上では必要になります。
実際問題としては得られた収束値が最大値であると考えても間違いで
ある確率は小さいのではと思いますが。


>p.s.これからゼミ合宿なので,
>次にメールが書けるのは8月5日以降
>になります.

  お待ちしております。


                                   岡本 安晴
                                   c00279 (at) simail.ne.jp


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