[fpr 1083] SEM応用事例

豊田秀樹

豊田@立教大学です

Yasuharu Okamoto <c00279 (at) simail.ne.jp> さんは書きました:
>岡本@金沢大学です。
>  ただ、上に有界であっても、パラメータ値が有界な閉集合でない
>場合は最大値がないということもあります。

御質問の意図がよくわかりました.数学的にこのような状況が厳密に
存在するか否かを扱った論文は読んだことはありませんし,小生にも
わかりません.ただ,現実のデータ解析場面では,酷似した状況にた
まに遭遇します.昨日まで那須の立教の合宿所にいたのですが,そこ
で安藤寿康(慶応大学)さんが,「多変量ACEモデル(4変数5群)
をEQSで解くとき,通常は20回以内の反復で収束するのに,式を書
き間違えたら,500回でも収束せず,内容をみたら,非常識に桁数
の多い推定値になっていた」といっていました.小生もつい最近似た
ような状況に遭遇しました(小生の最終的な結果は,今年の教心研
9月号と12月号に掲載されます).最大値は存在しないのか,あるいは
実は最大値は存在するけれど,そこまでの道のりが常識はずれに長い
のか,どちらなのかわかりません.でもデータ解析的実感としては,
最大値がないかのごとき状況に遭遇することがあることは確かです
(プレゼンテーションする価値のないモデルですから論文にその痕
跡は残らないのですが,大会予稿集の締め切りが近いときなどには
分析者泣かせの現象です).

>  例えば、因子分析の場合、因子が直交しているときは因子負荷量は
>絶対値が1以下ということで有界な閉集合内にパラメータ値を考える
>ことができます。しかし、斜交因子の場合はこの制限が無くなる、因子
>負荷量の絶対値はいくらでも大きくなりうる、ということになります。

この例は,すこし話がそれます.斜交解の尤度関数は,高さの等し
い万里の長城のような形状になっており,尤度の最大値をいつまでも
(万里?)歩きつづけているという状況です.尤度の最大値(領域)
は存在します.
ちなにみにSASのCALISで斜交解(識別されていない)を解く
と適当にどこかで止まります(ver6.11).微分係数は申し分なく0
に近いのですがヘシアンの逆行列が計算できない状態で収束します.

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TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
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