[fpr 1084] SEM応用事例

岡本安晴

岡本@金沢大学です。

  豊田さん、関連した具体例を教えて下さり、有り難う御座います。

  メールの後半について少しコメントをしたいと思いますので宜しく。

>この例は,すこし話がそれます.斜交解の尤度関数は,高さの等し
>い万里の長城のような形状になっており,尤度の最大値をいつまでも
>(万里?)歩きつづけているという状況です.尤度の最大値(領域)
>は存在します.

  パラメータ値が有界でない可能性があるということを、LISRELに
因子分析モデルが特殊な場合として含まれるので、因子分析モデルで
指摘したものです。

  斜交因子(変数)は数学的には直交因子に変換できますから、因子の
係数が有界である直交モデルで、まず、まともに収束することを確認
しておくのが望ましいのではと思います。
  直交モデルで普通に収束することが確認できたら、次に実質科学的に
解釈できる(斜交)モデルで解を求めるのがよいと思うのですが。

  因子分析やLISRELなどの場合、因子に何らかの条件、直交条件や
回転についての条件、がないと、因子の係数は不定になります。
これは極値探索の場合、万里の長城を歩き続ける、あるいは近似
2次曲面の階数が退化している(ヘシアンが正則でない)という
現象になります。

>ちなにみにSASのCALISで斜交解(識別されていない)を解く
>と適当にどこかで止まります(ver6.11).微分係数は申し分なく0
>に近いのですがヘシアンの逆行列が計算できない状態で収束します.

  永遠に歩きつづけるのか、逆行列が計算できない状態で収束と
するのか、これはプログラムを書いた人の極値探索に対する
考え方、あるいは経験の差だと思います。収束したとしてパラメータ
値が返されたとしても、ヘシアンが正則でない場合はパラメータ値は
それらの間に何らかの関係を有しながら不定という状態であることに
注意する必要があると思います。

  このようなとき、因子の回転などについての条件を設定すれば
普通に収束するものと思われるのですが。



                                  岡本 安晴
                                  c00279 (at) simail.ne.jp


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