In message <35C84B56.73C3 (at) simail.ne.jp> "[fpr 1084] Re: SEM応用事例" "Yasuharu Okamoto <c00279 (at) simail.ne.jp>" wrote. > >岡本@金沢大学です。 > > 豊田さん、関連した具体例を教えて下さり、有り難う御座います。 > > メールの後半について少しコメントをしたいと思いますので宜しく。 > >>この例は,すこし話がそれます.斜交解の尤度関数は,高さの等し >>い万里の長城のような形状になっており,尤度の最大値をいつまでも >>(万里?)歩きつづけているという状況です.尤度の最大値(領域) >>は存在します. > > パラメータ値が有界でない可能性があるということを、LISRELに >因子分析モデルが特殊な場合として含まれるので、因子分析モデルで >指摘したものです。 > > 斜交因子(変数)は数学的には直交因子に変換できますから、因子の >係数が有界である直交モデルで、まず、まともに収束することを確認 >しておくのが望ましいのではと思います。 > 直交モデルで普通に収束することが確認できたら、次に実質科学的に >解釈できる(斜交)モデルで解を求めるのがよいと思うのですが。 SASやSPSSなどの汎用パッケージではそうなっています.まず,直交解の中で, 推定方式に合わせた回転制約を入れて解をときます.それが初期解です.それ から,VAIRIMAXやPROMAX解へ変換していきます. > 因子分析やLISRELなどの場合、因子に何らかの条件、直交条件や >回転についての条件、がないと、因子の係数は不定になります。 >これは極値探索の場合、万里の長城を歩き続ける、あるいは近似 >2次曲面の階数が退化している(ヘシアンが正則でない)という >現象になります。 > >>ちなにみにSASのCALISで斜交解(識別されていない)を解く >>と適当にどこかで止まります(ver6.11).微分係数は申し分なく0 >>に近いのですがヘシアンの逆行列が計算できない状態で収束します. > > 永遠に歩きつづけるのか、逆行列が計算できない状態で収束と >するのか、これはプログラムを書いた人の極値探索に対する >考え方、あるいは経験の差だと思います。収束したとしてパラメータ >値が返されたとしても、ヘシアンが正則でない場合はパラメータ値は >それらの間に何らかの関係を有しながら不定という状態であることに >注意する必要があると思います。 > > このようなとき、因子の回転などについての条件を設定すれば >普通に収束するものと思われるのですが。 > そのとおりです.通常,共分散構造分析プログラムで探索的因子分析(らしき もの)を実行するには,回転の自由度を殺すため,因子負荷(パターン)行列 の上三角部分(対角部分を除く)を0におき,因子相関をゼロ(直交解),因 子の分散を1に固定してRUNします.すると,独自性が正確に求まります.エラ ーメッセージも出ないはずです.独自性が求まると,共通性も簡単に求まりま すね. ただ,共分散構造分析プログラムでは因子回転ができません.従って,共分散 構造分析プログラムだけでは探索的因子分析は実行できないと考えた方が無難 です.もちろん,ご自身で回転プログラムを組めばいいのですが. では,共分散構造分析プログラムはどのように使うかというと,たとえば,SAS やSPSSなどで探索的因子分析が上手く実行できないとき(たとえば,共通性が 1をこえる),その原因を探るために利用できます.共分散構造分析プログラ ムでは,(i) 独自性>0の条件を外すことができる,(ii) 反復の初期値を自由 に設定できる,(iii) 等式制約を置くことができる,(iv) WALD検定やLM検定の 実行,(v) 種々の適合度指標の出力,(vi) 最適化アルゴリズムの選択(calis ),など分析結果を吟味するための多くのオプションが備えられています.( SASでは (i) (ii) は可能 (v) Tucker-Lewis index あり) ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 狩野 裕(かのゆたか) Phone&Fax: 06-879-8052 (DI) 〒565 吹田市山田丘 1-2 大阪大学人間科学部 kano (at) hus.osaka-u.ac.jp http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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