はじめて、メールします。高雄@阪大(医)と申します。 長谷川@岡山 先生のメールについてですが。。。 >8/13の毎日新聞に、三洋電機が大脳の働きを「利き脳」テストで判定、採用、昇格時 >の基準とする人事制度を本格導入したとの記事が掲載されていました。 >さらに「利き脳」テストの結果によって「対人関係を主とした業務」に向いているの >か向いていないのかも判断できるなどと書かれてありましたが、本当にそんなことま >でできるのでしょうか。 特に、大脳半球機能差について研究しているものではないので、 ちょっと、的外れで、感想めいた発言になってしまいますが。。。 坂野先生の質問紙はどういうコンセプトで作成されたものかは存じませんが、 生理学の教科書的には、優位半球差というものは、優位半球に対し劣位半球が発達的 に遅れているとか、名前のとおり、劣っているというものではなく、優位半球を機能的 に相補しているものだという定義になっていたと認識しています。 つまり、効き脳がどちらであろうと、その人の能力には特殊化された差異 はないということです。 もちろん、有名人・偉人たちに関する病跡学的研究 から、画家・音楽家・数学者など創造的な仕事をした人たちの中には左利きの 人がたいへん多いのですが、これらはあくまで、特異な才能を示した一部の 天才たちのもので、一般人にそのまんまあてはまるものではないと思います。 ところで、企業の人事や人間工学関係の開発者と話していて、 生理学的・生物学的に裏づけられたということになってる測定法また研究法に対し 信仰に似た信頼感をもっている印象をいだくことがあります。 こういった奇抜なテストを用いて、さもかし我が社は科学的(?)人事管理を行って いると社外的にアピールしたいのでしょう。。。 毎日新聞によると、こらから試験的に行って、もし効果があれば(どーゆーふーに 評価するのかわかりませんが。。。)全社的に導入するというということです。 どうぞ、有為な人材をみすみす不採用としたり、あるいは窓際においやったりせぬよう 三洋電機に願うのみです。 また、利き脳については利き手との、高い相関がみとめられているのは御周知のこ とだとは 思いますが、三洋電機にかぎったことではありませんが、かつての、いわゆる 「ぎっちょ(左利き)」差別のようなことにつながらないかと、憂慮しています。 ところで、バブルの頃、ABO式血液型で、配置転換やら昇進を決めていた 会社というのをTVニュースで聞いたのですが、この会社の人事管理に その後役立ったのでしょうかねぇ?(笑) だれか、御存知の方おしえてください。 ----------------------------------- 高雄 元晴/Motoharu Takao 大阪大学医学部第2生理学 TEL:06-879-3611 FAX:06-879-3619 http://phys2.med.osaka-u.ac.jp takao (at) phys2.med.osaka-u.ac.jp -----------------------------------
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