長谷川@岡山です。 湯浅 秀道 <MXE05064 (at) nifty.ne.jp>さんは <199808161252.VAA18859 (at) ms7.niftyserve.or.jp>において "[fpr 1104] Q:相関係数について" という題名で、 次のように書いておられます。 >実は、以前ある研究者と話をしていたら相関係数の値の捕らえ方に差があるの >に気づき気になっていました。ところが最近他の研究者との間にも、認識の違 >いがあり、議論がかみ合わなかったのです。 すでに岡本さん初めたくさんのフォローが出ておりますが、私も素人的な立場から一 言。 相関係数というのは、 何らかの関係を探索する初期の段階(つまりWhatタイプの研究)において、 ある変数が対象とする行動現象に何らかの関わりを持っているかどうかを発見する道 具として算出される場合が多いように思います。 そもそも現実の世界では、たった1つの原因だけである行動現象が起こるということは ありえませんし、さまざまな相互作用が働いているわけですから、有意な相関が示さ れたからといって、その変数だけが全てであるというような結論を出すことはできま せん。 相関係数が有意であり、かつ0.5というような値をとる時には、(因果関係を探索する 場合であれば)さらに別の原因を探るということも必要になってくると思います。 (相関が高いというだけで因果関係を実証したことにならないのは言うまでもありま せんが) あとは、要請の内容によって変わってくるかと思います。 たとえば、ある物質の摂取量と癌との間に有意な相関があるという場合は、いかに 相関係数の値が小さくても、ただちにその物質の規制に取り組むべきでしょう。 逆に、あるダイエット食品の摂取量と体重の減少率に弱い相関があるという場合、高 い代金を払ってまでその食品を食べる人はあまり出てこないかと思います。 というような感想程度で失礼します。 ---------- 長谷川芳典(岡山大学文学部心理学教室) 署名簡易版 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html
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