堀@香川大学経済学部です。 Re: [fpr 1099] 性格研究は何のため 豊田@立教大学さん wrote ; >残りは性格です.そこで性格の研究をなさっている方にお聞きし >たいのですが性格の研究,測定は,どのような場面で役にたつの >でしょうか?確かに役に立っていると思えるのは,たとえば いわゆる性格の研究はしていませんが、教える立場から考えてみると。 MMPIなんかは目的がはっきりしているのでは。でも実際に自分ですることはなさそうだ。項目が多 すぎる。 性格検査として一番面白いのはエゴグラムです。別に東大式でなくても通俗的なものでいいかな。 これはコンセプトがはっきりしている。表面的妥当性があるということでしょうか。対人態度がよ くわかる。そして直そうとすれば、そのための指針もある。ほかの性格検査ではこういう側面が まったくないですね。このテストには細かすぎる占い的評価があるのも面白いのだけど、インター ネットや本でよくでているタイプよりもACTというところが出しているMY ADVICEというほうが 良いコメントだ。もちろん冗談半分として受け取る。それが決定的なものでないのは修正可能性を 認めていて、その修正に積極的であるということ。もっとも東大式でも項目が初版と2版では動い たものもあるようにそれほどしっかりしたもとのはいえない。 YG検査は典型的な5類型をだしている点がいいのでは。評価型です。B型は日常観察ですぐわか るかもしれないけど、E型はわからない。いわゆる(切れまくるではなく)切れるはE型として考 えていいのではないのかな。切れまくるはB型でしょうけど。YG検査は県庁などの採用試験で 使っている(た)例があるというがどう使っているのだろうか? しかし、YG検査は基本的にはアイゼンクのMPIつまり2つの軸しかない。アイゼンクの性格検 査もギルフォードも古いタイプしか日本にないのはなぜかよくわからない。ただ、アイゼンクの性 格検査の新しいものは今ひとつ因子としての安定性がないらしいが、それが理由か? >また,big five をはじめとする,統一的尺度は,何のために作ら >れているのでしょう?実用というより,純粋な興味なのでしょう >か?統一すると何かよいことがあるのでしょうか? 一部で統一することに熱心な人もいるようです。しかし、前にも書いたように絶対軸など存在しな いのでは。 辻平治郎編『5因子性格検査の理論と実際−こころをはかる5つのものさし』北大路書房(1998) に対するコメントとして、少しこのあたり書いておきました。 http://fourier.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/books/1998_7.html#05 単なる感想文です。 ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://fourier.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 電話番号 1998/4/1 から変更 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部)
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