豊田@立教大学です 昨日までやまごもり,明日から,またやまごもりです. 湯浅 秀道<MXE05064 (at) nifty.ne.jp> さんは書きました: >湯浅秀道です >竹内一夫様ありがとうございます。 >調査にMLを使う事は、確かに問題点もあるようですね。 >少し、そのへんも考え直してみます。 湯浅さんのメールはいろいろと議論を起こして有意義ですが, 湯浅さん自身の提案は,ネガティブな感じになってしまい, 提案のきかっけの一つが小生の教科書の記述であることを知 り,申しわけない気持ちになりました.すこし言い訳を書き ます. 湯浅 秀道<MXE05064 (at) nifty.ne.jp> さんは書きました: >湯浅秀道です > 相関係数の算出方法はいろいろな方法があり、その値の解釈は症例数によっ >て異なる事に注意しなければならないことは言うまでもないが、おおよその目 >安が教科書に示されている。例えば、豊田や田中らは、「1. 0.2以下であれば >ほとんど相関がない、2. 0.2-0.4であれば弱い相関がある、3. 0.4-0.7であれ >ば中程度の相関がある、4. 0.7以上であれば強い相関がある。」としている。 >しかしながら、相関係数の値が、各研究分野によって異なる事は暗黙の了解と >されているのも事実である。 相関係数の関連の程度が分析目的によって異なることは「暗黙」の了解で はなくて一般的に広く明示的に述べられていることです.たとえば豊田他, 原因を探る統計学,49-50pp.など参照して下さい.この本は読者・分析対 象が限定されないので,関連の程度が分析対象や目的によって異なること を述べています. では上記のような目安の表が常に間違いかというと,それは違います. はじめて黒板に相関係数の式を書かかれ,意味を説明された学生が次に考 えることは「じゃあどのくらいの値ならどのくらいの関係なんだ?」とい う自然な疑問です.それに対して「対象・目的によって異なる」という正 確な表現では不親切なのです.学生は混乱し,概念の理解が不十分になる 可能性が多分にあるのです. 「調査法講義」執筆コンテの立場は,学生がそれ以前に第2章から第6章で 項目作成方法を学んでいるのですから,5件法や7件法でアンケートによる 意識調査を行うことを(非常に限定された状況であることを,学習者の立 場を)暗黙に仮定しています.その立場で,関係の強さの目安を表形式で 示しておくことは実は大切なことなんです.学習がアンケート調査という 限定された状況に埋め込まれている訳です. >ある研究分野では弱い相関と判断する値を他の研 >究分野では強い相関があるとしてしまうような、同じ標本数で同じ相関係数の >値を各研究目的毎に表現が変わることは問題である。 研究対象・目的が異なれば,関連の評価の表現は変わるのが自然ですから これは,実は,まったく問題ないのですよ. -- ---------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor, Department of Sociology TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo(St.Paul's)University toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan ----------------------------------------------------------------------
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