[fpr 1197] 統計結果と結論

長谷川芳典

長谷川@岡山です。

Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>さんは
<199809171141.AA00147 (at) hori.ec.kagawa-u.ac.jp>において
"[fpr 1192] Re: 統計結果と結論" という題名で、
次のように書いておられます。

>そういう意味では行動主義者の反対する血液型性格論と、行動主義でない人の反対するところの血
>液型性格論はまるっきり違う世界を見せるでしょうね。
>
>血液型ハラスメントの問題はこれは社会的に問題ですから立場はあまり関係ないかもしれません
>が。

堀さんからご紹介いただいた

http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/standard.htm

というところを拝見したのですが、知らぬところで私がエスプリに書いた文章が引用されていまし
た。

======================quote
ここで強調しておくが、 血液型人間「学」がある種の普遍性を主張する「理論」であるのに対し
て、「血液型と性格は関係がない」というのは理論ではない。研究の出発点となる作業仮説にすぎな
いのである。 理論は一つの反例によって崩すことができるが、作業仮説に反例を示したってしょう
がない。
「血液型と性格は関係がない」という作業仮説のもとに地道にデータを集め、ある性格的特徴につい
て明らかに血液型との関係を示すようなデータが安定的に得られた時に初めてこの仮説を棄却するの
である。これこそが、雑多な変動現象の中から帰納的に規則性を見い出そうとするときにとるべき科
学的態度である。
======================unquote


私自身は、この立場を通しているつもりです。つまり、「血液型と性格は関係がない」ということを
主張する意味での反対論ではなくて、「血液型と性格は関係がある」という人のデータ収集法やロ
ジックの立て方に問題があることを指摘するという立場からの反対論です。

「血液型と性格は関係がある」ことを主張する人は、
・比率に片寄りがあるものは何でもかんでも肯定的結果として引用する。
・肯定的結果と否定的結果がある場合は、「必ずしも否定できない」と主張。
・否定的結果しか無いものは引用しない。
という態度がひじょうに顕著に表れているように思います。

つまり「血液型と性格は関係がない」という主張は、「関係がある」という反例1つで覆せるという
ロジックのようです。

あまり抽象的に「関係があるか無いか」を議論するよりも、「関係がある」という具体例を1つでも
出してもらってその妥当性・信頼性を検討するほうが生産的であると思いますが、もしそういう立場
で議論している方がおられたらお教えいただければ幸いです。

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長谷川芳典(岡山大学文学部心理学教室) 署名簡易版
http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html





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