鈴木@日経リサーチ です. SASとSPSS の因子分析の結果が違ったら事件です.小生も実行して確認しまし たが,両ソフトウエアはデフォルトの収束基準で主成分はもちろん,主因子, 最小2乗は一致します.最尤法は2桁程度しか一致しませんが,SAS の収束基 準を厳しくすればSPSSのデフォルト結果と一致します.SPSSの方が収束基準が 厳しく,かつ収束速度(反復数)が早いようです.SPSSの採用しているアルゴ リズムが優秀なのか?. 固有値の出力を見ておられますが,SPSSはデフォルトでは相関行列の固有値し か出力しないようです.どんな抽出法でも主成分分析と同じ固有値が出ません か?.対角要素に SMCを代入した縮退行列の場合は,途中から負の固有値が出 るのですぐに分かります. SASの場合は,反復前に出発行列(例えばSMCを代入した縮退行列)の固有値分 解の結果を出力し,反復終了後に収束した事後共通性を代入した行列の固有値 分解の結果を出力します.ですから, 》METHOD=PRINIT PRIORS=SMC;の場合(METHOD=Pと全く同じ) これは出発行列を見ているのです.当然まったく同じになります.また, prinit, uls の場合は反復後も同じになります. 因子分析の出力する固有値は3種類あり, (1)相関行列の固有値 (2)事前共通性を代入した行列の固有値 (3)事後共通性を代入した行列の固有値 SPSSは(1)のみ出力する主義でカイザー基準で因子数の目安を見るのに便利 です.しかしSPSSのこの出力によって,多くの人が回転後の説明分散に固有値 の寄与率を報告するという間違いを犯したそうです. SASは(2)(3)を出力します.(3)の固有値は指定した因子数のところ で累積寄与率が1になります.
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