[fpr 1225] 正準判別

鈴木督久

鈴木@日経リサーチ です

本日(10/7)の日経産業新聞に正準判別分析(多変量分散分析)による企業の
知的価値に関する分析結果を発表したのですが,正準空間の解釈方法で以前か
ら気にしていることがあり質問します.

分析結果のうち解釈に関連する指標は6種類くらい出ますが,統計学者の見解
もまちまちのようです.6種類というのは,重みベクトル(判別関数)につい
て全体・群内・群間の3種類,構造ベクトルについても3種類の合計6種類で
すが,そのうち何を解釈すべきかということです.

重み vs 構造に関してはその性質から使い分けは簡単だと思います.ただ,そ
れにしても立場の違いはあって,明確な立場としては,重み派は丘本正氏・谷
口るり子氏などで,構造派は柳井晴夫氏,石塚智一氏などでしょうか.

一方,全体 vs 群内 vs 群間に関しても,最新の「計算機統計学」で谷口るり
子氏が群内重みを基準化してVarimax回転した結果を解釈しましょうという論
文を出していて,この話題について再び気になったきっかけです.谷口氏は
(たぶん丘本先生も)群内の重みしか解釈に使わないようです.鷲尾・大橋は
「解釈にとって最も重要なのは群間構造である」と主張します.石塚氏は全体
構造という立場です.

ちなみに統計ソフトウエアの立場はSPSSとSTATISTICAとJUSE-MAが群内派(そ
もそも群内しか出力しない)で,SASが全体派です.SASは全部出力しマニュア
ルでは特に推奨もしないけれどプログラムの動作は全体を解釈するようになっ
ています.また,SASは構造派であることが明確です.SPSSとSTATISTICAは構
造と重みの両方用意してあってユーザーに選ばせる主義です.

私自身は正準変量と観測変数の相関係数でいいじゃないか,という単純な考え
(つまり全体構造主義者)ですが,強い根拠はないのです.統計学では決着済
みの話でしょうか.

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鈴木督久    stok (at) nikkei-r.co.jp
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