堀@香川大学経済学部です。 yoshinoさん wrote ; > そのとおり、まったくちがいます。なぜ、村上先生の「上の結果」と結び付けたの >か、わかりません。 >林知己夫 行動計量学序説pp。105−107あたりを参照。 >諒三 この件確認しました。発言の趣旨を誤解していました。 岡本さんに指摘していただいたAndersonの論文は学外複写になるためすぐには読むことができませ ん。 ついでなので、数量化3類で、SD法やリッカート尺度を解釈する問題を含めて書きます。 p107 「ガットマンスケールに近いものがあれば、3類を用い分析し、1次元目のベクトル、2次元目の ベクトルを平面にプロットすると、きれいなU字型、あるいは逆U字型の図柄が得られるので事情 がすぐわかる。」 ここは読んでいたけど、順序尺度だとガットマンスケールと解釈してよいというところまで考えて いなかったです。 駒澤勉氏の本(『数量化理論とデータ解析』朝倉書店)でもガットマンの内容、強度、確信度、複 雑度の軸の紹介がある。改めて読むと岩坪氏の『数量化法の基礎』(朝倉書店)には1次元構造を もつ2-way(1,0)データのところで詳しく説明している。 これって裏から見ると、順序尺度をつかったデータには数量化3類を適用するのはデータ読みとり に失敗する可能性が高いということではないだろうか。順序データを順序データとして処理するプ ログラム、例えばSPSSのCategories に入っている princals(Gifi,A(1990) Nonlinear multivariate analysis. Wiley に紹介されている。プログラムは http://www.stat.ucla.edu/gifi/software/ の中に fortran, c のものがある)のようなものを使 う方が解釈を誤ることはないということになるでしょう。 今ためしに15のリッカートスケール(5が5段階、10ヶが7段階)をSPSSのHOMALS(だい たい数量化3類に同じ)にかけてみると、最初に7段階の10項目の軸、その後5つも7段階の項 目関連軸(いわゆる「内容」としての意味はない)第7軸に5段階の5項目がでてきた。 これをprincalsにかけると、第1軸に7段階の10項目の軸、第2軸は5段階の3項目軸、第3軸 は5段階の項目の1部と7段階の項目の1部の軸で、主成分分析とよくにた軸となった。 林氏の本(『行動計量学序説』朝倉書店)p105 「なぜ、数値が正整数であるのか、なぜ言葉の段階が等間隔の数値に対応するのか、数値の順序は これでよいのか、数値の与え方によって分析の結果が変わってくるのではないかなどの考察がまっ たくなされていないのが普通である。」「なお、リッカートスケールを用いなくても、同様の分析 は、数量化3類によって、もっと望ましい形で達せられるのである。」 とありますが、Gifiの本では、Homals の結果との比較があります。確かにHomalsで処理したデー タを使ったほうが少しよいのですが、ほんの少しの向上でしかありません(p440)。もちろん、これ はあくまでそのデータでの結果です。 リッカート尺度やSD法の尺度の分析に、数量化3類やHOMALSを使うことはミスリーディングにな りやすいので、よほどの心得がないと使用しないほうがいいのではないでしょうか。順序尺度なら 順序尺度の取り扱いのできる手法を使う。順序尺度以上の取り扱いだけど、主成分分析や因子分析 のほうがさらに多くのことがわかる便利さがある。私の場合は、間隔尺度として取り扱ってますの でこういう主張をしたい。Princals の場合はよくはわからないけど、loss を測っていて、カテゴ リー尺度として扱った場合に比較してどの程度損失があったかを出している。lossが大きい場合に はカテゴリー尺度として扱うことにするということでいいのでは。といってもloss がどの程度な ら大きいのかよくわかっていない。 ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://fourier.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 電話番号 1998/4/1 から変更 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部)
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