[fpr 1299] 質問紙調査法について

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

Ayumi NIHEIさん wrote ;
>現在,私は,
>「サーバサイドスクリプト環境を用いた日本語回答時間の測定手法」
>をテーマとした研究を志しております.
>
>ここでは,
>TCP/IPによるWWWメディア
>を取り扱えるように,
>従来のペーパメディア
>による質問紙法を拡張しようと考えております.
>
>特に,ここでは
>スクリプト解釈が可能なWWWサーバ環境を用いて
>被験者のドメイン解析,応答速度解析等の
>実験を実現しようと考えております.
>
>これらの実験を行うにあたり,
>従来のペーパメディアによる質問紙法
>からの改善度を定量的に考察しようと考えました.
>
>具体的には,
>
>従来の質問紙法が,ペーパメディアである為に生じる問題
>1.被験者が,空間的かつ時間的に,局所的になってしまう
>2.試験者と被験者との相互間系が生じる
>3.解答時間に関する考察が難しい
>等を取り扱っていらっしゃる
>研究者の方の最新の論文などを現在探しております.

大学2年生ですからしかたないでしょうが、いくつか問題が錯綜しているようです。

質問紙法で個々の時間を測るということをしているのでしょうか?そのような例が
あったら教えてください。個々の反応時間を測定する場合は他の方法がとられている
はずです。例えば、タキストとかコンピュータとかです。ユングの連想法でもいわゆ
る質問紙法ではないはずです。つまり反応時間を重視するなら、他の方法と比較すべ
きでしょう。

ここが一番大きな点です。

そのほかの点について指摘すれば、
1の問題は、質問紙法は局所的になってしまうのはそうしているからで、国勢調査の
ように、調査者がその金力と時間をついやせば全数調査をやってもいいのです。この
あたりのことについては調査法の本を読むのがいいでしょう。例えば、
豊田秀樹『調査法講義』朝倉書店(1998)

また、インターネット調査には偏ったサンプルという弱みがつねにあります。
株式会社リクルートリサーチ 調査部マネージャー 萩原 雅之氏の説明を
読めばいいでしょう。
http://www.mars.dti.ne.jp/%7Ehagi/seminar9807/index.htm
http://www.mars.dti.ne.jp/%7Ehagi/seminar9809/index.htm
http://www.mars.dti.ne.jp/~hagi/nrr96-1.html

このほかにもインターネット上にいろいろあります。

あとは、コンピュータで性格テストをする場合と紙でテストする場合の違いについて
の論文はいくつかでています。文献検索はPsycLit というCDで行うのが普通になっ
ているのでは。これは田舎か都会かは関係なく、それに金を使うかどうかです。

質問紙法に関する基本的なまとめは、古いですが、
続・村上編『心理学研究法9 質問紙調査』東京大学出版会 1975
でしょう。

インターネット・リサーチについては、
萩原 雅之氏の主宰するメーリングリスト survey の方がいろいろ情報を得ることが
できます。詳しくはこっち
http://www.mars.dti.ne.jp/~hagi/ml.html

問題点をもっと指導教官と話し合うべきでしょう。そのために大学に入っているので
しょうから。

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堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail:  hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp
home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/
fourier でも www でもいいので、認知的負荷の少ない www を宣伝することにしました。
電話番号 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室)
〒760-8523(これで香川大学経済学部)


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