[fpr 1309] A Question on Non-random Variable

豊田秀樹

豊田@立教大学です

のっけから宣伝で恐縮ですが,拙編著で「共分散構造分析 [事例編]」という本
が北大路書房より12月7日に発売されます.編者よりえらい1流のアナリスト
の方達が,興味深い分析事例を寄稿してくれております.

以下,御本人の了解の下,転載,返答いたします.

maeda (at) ism.ac.jp さんは書きました:
>豊田さん:
>  豊田さんの使われる(カテゴリカル変数の場合の)非確率変数
>という用語に判らない点がありますので。
>  だいぶ以前のfprで、重回帰の文脈で同様の質問が出て、豊田さ
>んが答えられたときにも、類似の用語を使われていたように記憶
>します。
>	>判別分析の分析結果の出力には,予測変数を非確率変数(モデルの中の定数)
>	>とみていい部分(0ー1データや歪んだデータでもokな部分)と,(多く
>	>の場合に多変量正規分布の)確率変数を仮定して計算されている部分があり
>	>ます.
>  そのような意図ではないのかも知れませんが、重回帰のときの書
>き方も似ており、カテゴリカル変数=非確率変数と読めてしまうよ
>うな気がします。

引用部には歪んだ分布の例を載せておりますし,元記事には再表現にも言及
しております.「カテゴリカル変数=非確率変数」とは述べていません.

>カテゴリカル変数でも非確率変数の場合と確率変
>数の場合があると思うのですが、違いますでしょうか?  

違いません.両方の場合があります.

>  非確率変数とみなしてよい、ということは、「記述統計の目的で
>使う場合なら」とほぼ同義と考えてよいでしょうか?

違います.考えてはいけません.回帰分析は元来デフォルトで予測変数は非確
率変数なのです.たとえばSASの PROC GLM の「記述+推測統計
的部分」のデフォルトの出力の全てが,予測変数として非確率変数を仮定して
います.したがって推測統計の結果を利用する場合「も」予測変数は非確率変
数です.そもそも回帰分析は

原料の重さから製品の重さを予測する場合,
加熱時間から試料の硬さを予測する場合,
音源までの距離から音圧を予測する場合,

などに使われ,等間隔の定数が変数になる場合も多いのですから,予測変数が
確率変数では(もちろん一様分布でもない)使えないことが多いのです.この
辺のことは,拙著「調査法講義,第21章」に意識的に書いておきましたので
御参照下さい.

(ここまでは聴かれていませんが)もちろん予測変数が確率変数である場合も
あり,塩谷實「多変量解析概論」朝倉書店を参照して下さい.SEMには両方
あります.両者は結果が一致する部分と,しない部分があり,小生,もっか勉
強中です.

--
----------------------------------------------------------------------
TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
----------------------------------------------------------------------

スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。