豊田@立教大学です のっけから宣伝で恐縮ですが,拙編著で「共分散構造分析 [事例編]」という本 が北大路書房より12月7日に発売されます.編者よりえらい1流のアナリスト の方達が,興味深い分析事例を寄稿してくれております. 以下,御本人の了解の下,転載,返答いたします. maeda (at) ism.ac.jp さんは書きました: >豊田さん: > 豊田さんの使われる(カテゴリカル変数の場合の)非確率変数 >という用語に判らない点がありますので。 > だいぶ以前のfprで、重回帰の文脈で同様の質問が出て、豊田さ >んが答えられたときにも、類似の用語を使われていたように記憶 >します。 > >判別分析の分析結果の出力には,予測変数を非確率変数(モデルの中の定数) > >とみていい部分(0ー1データや歪んだデータでもokな部分)と,(多く > >の場合に多変量正規分布の)確率変数を仮定して計算されている部分があり > >ます. > そのような意図ではないのかも知れませんが、重回帰のときの書 >き方も似ており、カテゴリカル変数=非確率変数と読めてしまうよ >うな気がします。 引用部には歪んだ分布の例を載せておりますし,元記事には再表現にも言及 しております.「カテゴリカル変数=非確率変数」とは述べていません. >カテゴリカル変数でも非確率変数の場合と確率変 >数の場合があると思うのですが、違いますでしょうか? 違いません.両方の場合があります. > 非確率変数とみなしてよい、ということは、「記述統計の目的で >使う場合なら」とほぼ同義と考えてよいでしょうか? 違います.考えてはいけません.回帰分析は元来デフォルトで予測変数は非確 率変数なのです.たとえばSASの PROC GLM の「記述+推測統計 的部分」のデフォルトの出力の全てが,予測変数として非確率変数を仮定して います.したがって推測統計の結果を利用する場合「も」予測変数は非確率変 数です.そもそも回帰分析は 原料の重さから製品の重さを予測する場合, 加熱時間から試料の硬さを予測する場合, 音源までの距離から音圧を予測する場合, などに使われ,等間隔の定数が変数になる場合も多いのですから,予測変数が 確率変数では(もちろん一様分布でもない)使えないことが多いのです.この 辺のことは,拙著「調査法講義,第21章」に意識的に書いておきましたので 御参照下さい. (ここまでは聴かれていませんが)もちろん予測変数が確率変数である場合も あり,塩谷實「多変量解析概論」朝倉書店を参照して下さい.SEMには両方 あります.両者は結果が一致する部分と,しない部分があり,小生,もっか勉 強中です. -- ---------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor, Department of Sociology TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo(St.Paul's)University toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan ----------------------------------------------------------------------
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