SASの岸本です。 いままで発言のきっかけがなくずっとROMしていましたが、 まさかこんな内容が初の書き込みになるとは自分でも意外です。 さて、著作権についてですが、これには財産としての著作権と 著作者人格権とがあり、分けて考えなければいけません。 普通の意味の著作権は、著作物をそのままコピーする権利です。 この意味の著作権は、譲渡することが可能です。通常、学会では 著者から著作権を譲り受けます。ですから、著者といえども自分 の論文をコピーして配布するのは契約に違反する行為です。しか し、研究者たるもの自分の論文を知人に配布したいものです。 そういうときには、学会からリプリントを購入し、それを配布す るのが正しい方法です。自分のHPに自分の論文を掲載するという のは、コピーして配布するのと同様の解釈になりますから、無断 で掲載してはいけません。学会の厚意で許可を得れば、当然掲載 してもかまいません。 著作者人格権は、著者固有の権利であり(特殊な場合を除き)譲渡 することはできないものです。著作者人格権には、次のようなも のがあります。 公表権:著作物を公表するか否か、公表するとすればその時期や 方法を著作者自ら決定できるという権利 氏名表示権:著作物が一般に公開される時に、著作者の氏名を表 示するか否か、また、表示する場合、著作者の氏名をどのような 名義で表示するかを決定する権利 同一性保持権:著作物の同一性を保持し、著作者の意に反した改 変を受けないという権利 論文を「岸本(1999)」という風に示すのは、著作権者ではなく著 者を示しているということです。また、論文をそのままHPに掲載 するのではなく、梗概を掲載するのなら、著作者人格権の範囲内 で可能だろうと思います。 余談ですが、職務著作(会社に雇われて仕事として著作を行った 場合)では、著作者人格権も制限を受けます。MicroSoftに勤めて いる人がWindowsについて著作者人格権を主張することはできま せん。これは、個人と会社とが個別に契約して決めることです。 それにもかかわらず、Windowsにある操作をすると職務著作者の 氏名表示権が行使されることはよく知られた事実です。 ξ ■ゞ(^_^) Kishimoto SAS Institute Japan The opinions expressed here jpnjak (at) jpn.sas.com 1-13-1 Kachidoki are mine and not necessarily (03) 3533-3831 Chuo-ku Tokyo 104 those of SAS Institute.
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