堀@香川大学経済学部です。 またまた超亀レスです。しかも長文 Re: [fpr 1318] Re: カイザー基準 Tokuhisa SUZUKIさん wrote ; > Sat, 12 Dec 1998 09:53:19 +0900 の > [fpr 1313] カイザー基準 > に関するメールにお返事します。 《snip》 >これは「相関行列の固有値>1の個数」というありふれた基準のことですが, >Kaiser基準という言い方はひょっとしたら一般的ではないかも知れません. >Kaiserの前にGuttmanがいるためかと思います.実際,芝先生の本ではGuttman >に言及しています. <snip> >手元の本でKaiser基準といっているのを探しましたが, > >Stevens(1996)Applied Multivariate Statistics for The Social Sciences. >( Third Edition ). L.E.A. > >がありました.日本では > >柏木繁男(1997)性格の評価と表現 −特性5因子論からのアプローチ−(有斐 >閣) > >がカイザー基準といっているのですが,「1965年に提案したものである」と解 >説しているのは,柏木先生の間違いではないかと思います. この本では正確に「カイザー基準」とはいってませんね。 いくつか本をみたのですが、カイザー基準と言い切っているものは上のStevens の本と 統計ソフトのStatistica StatSoft, Inc. (1998). STATISTICA for Windows [オンラインヘルプ]. Tulsa, OK: StatSoft, Inc., 2300 East 14th Street, Tulsa, OK 74104, phone: (918) 749-1119, fax: (918) 749-2217, email: info (at) statsoft.com, WEB: http://www.statsoft.com となっているけど、バージョンをまったく入れなくていいのだろうか?なんか適切な引用とはいえ ない部分が多く含まれているようだが。 '98 Edition Release 5.1 K (日本語版 もっともCD-ROMには英語版とドイツ語版が入っている) の英語版と日本語版は「カイザー基準 Kaiser criterion)」を使っています。 Hatcher,L.(1994) A step by step approach to using the SAS system for factor analysis and structural equation modelinng. SAS でも Kaiser criterion といってますが eigenvalue-one criterion のほうをメインにしていま す。 以上3件みつけました。 類似の表現は Marcoulides,G.A.,& hershberger,S.L.(1997) Multivariate statistical methods: A first courcse. LEA. Bernstein,I.H.(1988) Applied multivariate analysis. Springer-Verlag. Kaiser-Guttman “λ>1”criterion rule を使っている本もあります。 Jolliffe,I.T.(1986) Principal component analysis. Springer-Verlag Kaiser rule Nesserlroade,J.R. and Cattell,R.B.(1988) Handbook of multivariate experimental psychology. 2nd ed. Plenum. この本では個別の章ではいっていないのですが、索引では Kaiser-Guttman greater than unity test といってます。Cattellの章では主としてKaiserを、Gorsuch の章ではGuttman だけに言及し ています。ほかにもこのタイプがあったはずだが、ちょと探す元気がない。 ところで、シミュレーション実験や総括ではこの基準の評価は高くありません。これよりもスク リーのほうがいいようです。 (a)Hair et al.(1998) 変数が20から50の間なら妥当な数をだす。変数が20以下なら少なす ぎる、変数が50以上なら多すぎる。 Hair.J.F.Jr., Anderson,R.E.,Tatham.R.L., and Black,W.C. 1998 Multivariate data analysis. 5th ed. Prentice Hall. (b)固有値1の説明は Stevens(1996)が一番詳しい。p366-p367 変数の数が30未満で (共通性平均 0.70以上)または(N> 250 かつ共通性平均 0.60以上)の場合は 固有値1以上のルールでいい。 その他の場合で N>200 ならスクリー・テストでいいだろう。 Stevens,J.(1996)Applied multivariate statistics for the social sciences. 3rd ed. LEA. (c)Cattell(1988,p164) 変数が少ないとき(n<20)のときは切り取りが早すぎるし、変数が多いとき(n>50)のは遅すぎる。 これは(a)でいっていることと一致する。 (d)シミュレーション実験(ただしpca) Zwick,W.R. and Velicer,W.F.(1986) Comparison of five rules for determining the number of components to retain. Psychological Bulletin, 99(3), 432-442. この結果では Horn(1965)のparallel analysis がダントツにいい。その次が Veleicer の開発し た Minimmum Average Partial(MAP), そして、スクリーテスト。固有値1基準とBartlett test は だめとなっている。 最近のVelicer らやGorsuch らのシミュレーション研究では因子数は多すぎる場合は問題が少ない が、少なすぎるときは問題が大きいという結果を加味すると、MAP はたまに少なすぎるので、PAと スクリーテストを使用するのがよさそうです。 Horn のPA は乱数データ行列の固有値と比較する方法で、 Montanelli,R.G.,Jr.,& Humphreys,L.G.(1976).Latent roots of random data correlation matrices with squared multiple correltaions on the diagonal. Psychometrika, 41, 341-348. にオブザベーション(サンプル数)と変数数を従属変数として、(乱数データ行列の)固有値の対 数を推定するデータがあります。これと、SMCを入れた相関行列の固有値とを比較してやればいい のできわめて簡単です。ただし、このデータはオブザベーション数25以上1533以下、変数数 6以上90以下という制限はあります。おそらくオブザベーション数はこれ以上ふやしても固有値 は安定したものであろうとは推定しますが。私としては4000まであれば安心して使えるという ところかな。 これをexcel にいれて2,3の本やインターネットにでているデータで試したところいいです (^^)。 固有値1基準はそろそろ終わりにしたほうがいいのでは。まあ、そういう意味において、 柳井晴夫・繁桝算男・前川眞一・市川雅教 1990 因子分析−その理論と方法− 朝倉書店 にでている因子数の決め方にPAが落ちているのは納得できない。「因子数の決め方」だけに言及し てますが、すでにあまりよくないとわかっている因子数の決め方特集になっている。 この本では Gorsuch(1983) Factor analysis. 2nd ed. LEA への言及もないですが、いいのかな? おっとGorsuchの本は阪大(人 学生)から貸借していて今日返さないといけないのだ。 ps.Gorsuch の本ではGuttman の基準に言及して>=1になってます。 ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 1999年2月22日から wwwサーバーは、www に統一されます。fourierはメールサーバー専用に変身。いまもwww が使えるので 上のurl を使ってください。 電話番号 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部)
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