狩野@大阪大学です > Yutaka Kano wrote ; > モデルでは「相関行列の固有値>1の個数」は因子数を過小推定することが > あることが知られています.本来の因子数が5のときに3と推定してしまう > ことがあるわけです. >"Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote. > 過小推定を前提とした話だと、変数が少ない場合と理解していいのでしょう > か? 変数が50以上の場合は過大推定するという点ではいいでしょうか? > モデルにおいては,Guttman Rule はいつも因子数を過小推定します.変数の数 に依らずにそうなります. データの場合,変数が多くなると,minor factors の影響が大きくなると考え られます.変数が多いのですからそれらに関わる微小の因子はたくさんあると 考えるのは自然です.因子数を押し上げる効果のある minor factors の影響が ,モデルにおける Guttman Rule の過小推定の程度を上回り,結果として因子 数を過大推定することは十分に考えられます. 一方,モデルにおける Guttman Rule の過小推定の程度は,変数が多くなると 減少します.従って,この過小推定の問題は変数の数が増大すると軽くなるの です.因子分析と主成分分析の結果の違いは,変数が多くなると無視できるよ うになるのと原理は同じです(e.g., Schneeweiss and Mathes, 1995: Bentler and Kano 1990). 以上まとめると,変数の数が増大すると,モデルにおける Guttman Rule の過 小推定の程度が和らぎ,データにおける minor factors の影響(因子数を押し 上げる効果)が強まり,結果として,Guttman Rule は因子数を過大推定する傾 向が見られるのだと思います. さらに,これは別の議論ですが,研究者は変数の増加の割に因子数を増加させ ないのではないかと予想しています.例えば,変数が10個であるとき,固有値 が 1.3 である因子を拾って解釈するが,変数が50個のとき固有値が 1.3 の因 子を拾うだろうかということです.前者の場合は3因子ぐらいでしょうが,後 者の場合は7因子も8因子も出てくる.そうすると,明らかに後者の方が解釈 が難しくなります.後ろの方の因子はあまり興味がないということもあるでし ょうし,解釈がしやすいところまで因子をとるということもあり得ます.そう すると,Guttman Rule はこのような研究者の心情をくみ取れないから,変数が 多いときには,「Guttman Rule は因子数を過大推定するのだ」という印象を与 えるのではないでしょうか. > Yutaka Kano wrote ; >「SMCを対角に置き換えた相関行列の固有値>0の個数」というルールもあり >ます.このルールも因子数を過小推定することがあることが知られています. >"Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote. > これはかなり特殊な場合ではないのですか?できれば文献を教えてください 。 SASで共通性の指定をしたとき(e.g., PRIORS=SMC)と最尤法を採用したと きのデフォルトです.柳井他(1990, page 73) に記述があります.元々は, Guttman(1954)でしょうか. Yutaka Kano wrote ; >シミュレーションでの比較は,特に minor factors の影響を specify するの >が難しく,実際は minor factors がないものとして実験を行っています.従 >って,Guttman Rule の良さ悪さが正当に評価されない傾向にあると思われま >す Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote. > Velicer の入っている研究はとくにそういうきらいがあります。 なるほどそうですか.Velicer というのは,因子分析と主成分分析の比較でも 有名な人ですね(Velicer and Jackson, 1990). Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote. > Wood,J.M., Tataryn,D.J.,& Gorsuch,R.L.(1996). Effects of under- and > overextraction on principal axis factor analysis with varimax > rotation. 1(4), 354-365. > は目的は違ってますが、unique variable を入れてモンテカルロ法をしてま > すから、だんだんと minor factors 問題にも迫ることができるというのは楽 > 観的すぎるか。 unique variable の意味を教えて下さい.この雑誌は Psychological Methods でしょうか.ここには,1998年 からしかないのです. 堀さんの文献収集力にはいつも感心しています.知らない文献がたくさん出て きて,刺激になります. Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote. > いずれにしても因子をきれいに出すように変数選択していけばその問題もあ > る程度のめどがつくのかな? というわけで、狩野さんの変数選択ソフト期 > 待しています。 どうもありがとうございます.変数選択の問題と絡められるかどうかはよく分 かりません.考えてみます. Guttman (1954). Some necessary conditions for common factor analysis. Psychometrika, 19, 149-161. Schneeweiss and Mathes (1995). Factor analysis and principal components. Journal of Multivariate Analysis, Vol.55, 105-124. Veliver and Jackson (1990). Component analysis and versus common factor analysis. Multivariate Behavioral Research, Vol.25, 1-28. Bentler and Kano (1990). On the equivalence of factors and components. Multivariate Behavioral Research, Vol.25, 67-74. 柳井他(1990). 因子分析.朝倉書店 ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○● 狩野 裕 Phone/Fax:06-6879-8052 大阪大学人間科学部 〒565-0871 吹田市山田丘1−2 「春の合宿セミナー」現在の申込者数=78 御興味がある方はお早めに!! http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/seminar/gasshuku/index.html ○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
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