[fpr 1365] About ANOVA(SS)

狩野裕

狩野@大阪大学です

>  二元配置分散分析をいくつかの統計ソフトを用いて行っているのです
> が、結果がかなり異なっているため、これはどういうことなのかお分か
> りになる方がございましたら、是非お教え下さい。特に、SSの値が非
> 常に異なっているのですが。

その理由は,各セルにおけるデータ数が揃っていない計画(unbalanced design)だ
からと思われます.unbalanced design の場合は要因効果が直交しないことが多く,
平方和の定義がしにくいのです.そこで,各ソフトウェアには,いくつかの平方和が
用意されています.SASやSPSSには type I 〜 type IV の4つの平方和が提
供されています.私は(質問者の)両ソフトとももっていないので詳しいことは分か
りませんが,デフォルトの平方和が異なるのではないでしょうか.交互作用の平方和
が同じなので,Halbau for Windows は type II, ANOVA4,STAR for WWW は type I 
かなと想像します.(でも,一番多いのは type III なのですが...もし,交互作
用が主効果と直交している計画になっているときは,質問者から提供された情報から
平方和の型を同定することはできません)

これらの使い分けに関するルールは確立されていないと思います.いくらかの情報が
以下の成書にあります.

高橋他 SASによる実験データの分析.東大出版
前川  SASによる多変量データの分析.東大出版

%前川さんから詳しく解説してくれないかなあ...ROMと決めてらっしゃるよう
ですが.

>  今回の分析では、単純主効果の検定を行うことが目的であります。
> 私の知る限りでは、SASやSPSS、Halbauでは、単純主効果の検定はでき
> ず、ANOVA4,STARのみができるということですが、もし、その他の統
> 計ソフトや、SAS,SPSS等で単純主効果の検定が可能ならば、そのやり
> 方もご教示いただけると幸いです。

SAS では by コマンドを使って要因ごとに平方和を計算することで対応できます.
SPSS でも グループごとに分析する方法で対応できると思います.

ただ,検定するときの誤差平方和がグループごとに別個に計算されます.A1水準にお
けるBの単純主効果を検定するときは,A1水準のデータのみから計算された誤差平方
和が検定に使われます.A2水準におけるBの単純主効果を検定するときは,A2水準の
データのみから計算された誤差平方和が検定に使われます.単純主効果を検定すると
きは,最初の分散分析で計算された(全体の)誤差平方和が用いられることが多いよ
うです.質問者の例で考えれば

> 残差   597661.614  1515      394.496

を使うのです.この方法に従うときはF値は手計算することになります.単純主効果
の平均平方和を 394.496 で割ります.

交互作用と単純主効果の検定について学部生に講義したので,この部分の講義配布資
料を以下の url へ貼りました.ただ,word97のファイルをダウンロードしていただ
くことになります(Frequently Asked Question の 6).近々,htmlに変えてアップす
る予定ですが...

   http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/lecture/

上で述べたSASの入力ファイル例も紹介してあります.例題は「森+吉田 心理学
のためのデータ解析テクニカルブック 北大路書房」から拝借しています.


個別の誤差平方和を使うか,全体の誤差平方和を使うか,この区別の基本は,A1 水
準の誤差分散と A2 水準の誤差分散とが同じ大きさであるとみなせそうかどうかにか
かっています.同じ大きさと考えられるときは全体の誤差平方和を,そうでないとき
は個別の誤差平方和を使います.同じ大きさと考えられるときに個別の平方和を使う
と検出力(検定力)が落ちます.一方,大きさが異なるときに全体の平方和を使うと
第一種の過誤が乱れます(α=0.05とならない).


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狩野  裕 Phone/Fax:06-6879-8052
大阪大学人間科学部  〒565-0871 吹田市山田丘1−2
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 御興味がある方はお早めに!!
http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/seminar/gasshuku/index.html
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In message <199902101205.VAA28330 (at) wise26.mn.waseda.ac.jp>
   "[fpr 1361] About ANOVA(SS)"
   "498c0037 (at) mn.waseda.ac.jp (Y.Otsuka<498c0037 (at) mn.waseda.ac.jp>)" wrote.

> 
> 
> Otsuka (at) Wasedaと申します。初めてメーリングリストに参加させていただ
> きます。
> 
>  二元配置分散分析をいくつかの統計ソフトを用いて行っているのです
> が、結果がかなり異なっているため、これはどういうことなのかお分か
> りになる方がございましたら、是非お教え下さい。特に、SSの値が非
> 常に異なっているのですが。
> 
> <Halbau for Windowsでの結果>
> -------------------------------------------------------------
> 要因    SS       df        MS           F       p-value
> -------------------------------------------------------------
> A        1773.472     1     1773.472      4.496     0.03415
> B        2525.074     1     2525.074      6.401     0.01151
> A*B      1535.821     1     1535.821      3.893     0.04867
> 残差   597661.614  1515      394.496
> -------------------------------------------------------------
> 
> <ANOVA4,STAR for WWWでの結果>
> -------------------------------------------------------------
> 要因    SS       df        MS           F       p-value
> -------------------------------------------------------------
> A        3339.003     1     3339.003      8.464     0.0037
> B         359.748     1      359.748      0.912     0.3398
> A*B      1535.821     1     1535.821      3.893     0.0487
> 残差   597661.614  1515      394.496
> -------------------------------------------------------------
> 
>  今回の分析では、単純主効果の検定を行うことが目的であります。
> 私の知る限りでは、SASやSPSS、Halbauでは、単純主効果の検定はでき
> ず、ANOVA4,STARのみができるということですが、もし、その他の統
> 計ソフトや、SAS,SPSS等で単純主効果の検定が可能ならば、そのやり
> 方もご教示いただけると幸いです。
> 
> --
>                         早稲田大学文学研究科心理学専攻
>                         大塚  泰正
> 			OTSUKA Yasumasa
> 			498c0037 (at) mn.waseda.ac.jp
> 
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