[fpr 1371] カイザー基準

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

Re: [fpr 1362] Re: カイザー基準

詳しい解説ありがとうございます。

Yutaka Kanoさん wrote ;

>さらに,これは別の議論ですが,研究者は変数の増加の割に因子数を増加させ
>ないのではないかと予想しています.例えば,変数が10個であるとき,固有値
>が 1.3 である因子を拾って解釈するが,変数が50個のとき固有値が 1.3 の因
>子を拾うだろうかということです.前者の場合は3因子ぐらいでしょうが,後
>者の場合は7因子も8因子も出てくる.そうすると,明らかに後者の方が解釈
>が難しくなります.後ろの方の因子はあまり興味がないということもあるでし
>ょうし,解釈がしやすいところまで因子をとるということもあり得ます.そう
>すると,Guttman Rule はこのような研究者の心情をくみ取れないから,変数が
>多いときには,「Guttman Rule は因子数を過大推定するのだ」という印象を与
>えるのではないでしょうか.

う〜んと。Zwick and Velicer(1986)のシミュレーションでもでていますから、この
推論は必ずしも当たっていません。彼らのシミュレーションでも飽和度(といってい
いのでしょうか? saturation 共通性の平均値)が高いとき(0.80)のときはKaiser 
基準でも43.8% が正しい推定です。飽和度が0.50 のときは100%が3因子のずれに
なってます。

 もしかしたら、シミュレーション実験において飽和度の中(0.6)から低(0.4)のとき
は微少因子を含んだものになっていると考えることができるのかな?

>
>> Yutaka Kano wrote ;
>>「SMCを対角に置き換えた相関行列の固有値>0の個数」というルールもあり
>>ます.このルールも因子数を過小推定することがあることが知られています.
>
>>"Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote.
>> これはかなり特殊な場合ではないのですか?できれば文献を教えてください
>。
>
>SASで共通性の指定をしたとき(e.g., PRIORS=SMC)と最尤法を採用したと
>きのデフォルトです.柳井他(1990, page 73) に記述があります.元々は,
>Guttman(1954)でしょうか.

ここで疑問に思ったのは、「過小推定することもある」という部分です。PAをすると
きには対角にSMCを入れた固有値と比較することになるので、上の方法は必須になっ
ています。(田中豊・垂水共之『Windows版統計解析ハンドブック 多変量解析編』
共立出版 1995 の因子分析のプログラムをexcel に移してしていろいろ遊んでいる
のですが、このプログラムの中にはこの処理をする部分がある)。SPSSユーザに対す
る配慮は痛み入ります。

>Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote.
>> Wood,J.M., Tataryn,D.J.,& Gorsuch,R.L.(1996). Effects of under- and 
>> overextraction on principal axis factor analysis with varimax 
>> rotation. 1(4), 354-365.
>> は目的は違ってますが、unique variable を入れてモンテカルロ法をしてま 
>> すから、だんだんと minor factors 問題にも迫ることができるというのは楽
>> 観的すぎるか。
>
>unique variable の意味を教えて下さい.この雑誌は Psychological Methods 
>でしょうか.ここには,1998年 からしかないのです.

一番大事な雑誌名を落としていましたか、推察の通りです。

unique variable(s) は共通因子に負荷のない変数です。これはVelicer, Peacock, & 
Jackson(1982) Multivariate Behavioral Research, 25, 1-28 から引っ張ってきて
いるので前言の 
Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp>" wrote.
> Velicer の入っている研究はとくにそういうきらいがあります。

は撤回しておきます。Zwick and Velicer(1986)もかなり頑張ったものとなっていま
す。

>Guttman (1954). Some necessary conditions for common factor analysis.  
>   Psychometrika, 19, 149-161.

これやっぱり読まないといけないのかな〜。とりあえずコピーの依頼はだした。

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