森@広島大 です。 おそらく私にふられた質問だと思いますので、僭越ながら私が答えてみます。もし間違っ ていれば、どなたか詳しう方のフォローをお願いします。 まず、お尋ねの文献ですが、自由度のイプシロン修正に関しては下記の文献がよく引用さ れるようです。 Greenhouse, S.W. & Geisser, S. 1959 On methods in the analysis of profile data. Psychometrica, 24, 95-112. Huynh, H., & Feldt, L.S. 1976 Estimation of the Box correction for degree of freedom from sample data in the randomized block and split-plot design. Journal of Educational Statistics, 1, 69-82. 反復測定データの分散分析を行うことは、心理学の様々な分野で行われているはずなので すが、なぜか分散共分散の等質性の前提条件について厳格なのは、私の知る限りでは生理 心理学の分野だけのようです。脳波などの生理反応では、この前提条件からの逸脱が生じ やすいという特殊な事情があるのかもしれませんが、本当の理由は私にもわかりません。 ともあれ、生理心理学の専門誌である Psychophysiology 誌などにおいては、このような データの解析の際には、自由度のイプシロン修正をするか、MANOVAの適用を勧めているよ うです。なお、SASでは、GLMプロシジャでrepeated ステートメントを用いること によって、イプシロン修正をやってくれます(「新生理心理学1巻」(北大路書房)の第 19章「解析法」に実行例が示してあります)。このため、SASが手放せないのだと同 僚の生理心理学の先生が言っていました。SPSSは対応していないのでしょうか? "Hidetsugu KOBAYASHI" <hkoba (at) azalea1.ip.fukui-nct.ac.jp> さんは書きました: >小林@福井高専です. > >不勉強もあり今までロムさせて頂いていましたが,発言しないことには進歩もないと >思い,発言させていただきます. > >石村貞夫さん(鶴見大学)の著書を読んでいると,反復測定による分散分析を行った >場合,モークリ−の球面性の検定を行い(この仮説をホインフェルトの条件とい >う),これが成り立たないときは,グリーンハウスゲイザーのイプシロンやホイン >フェルトのイプシロンをF分布の2つの自由度にかけて,自由度を小さくして有意確 >率を計算しなおさなければならない.とあります. > >このような説明,特に人名については,同様な解析を行っている論文をみてもほとん >ど記されていません. >手持ちの本にはこれらの人たちの名前や出典が見当たりません. > >反復測定における上述の手続きは暗黙の了解ということで論文にあえて記すことはな >いのでしょうか. > >#過去の議論(「ドライバーの反応時間〜」)にイプシロンについて多少ふれられて >いたようですが. > > > ************************************************** 森 敏 昭 Toshiaki Mori 広島大学大学院 Graduate School of Learning 教育学研究科 and Curriculum Development 学習開発専攻 Hiroshima University Email:tosmori (at) ipc.hiroshima-u.ac.jp http://www.educ.hiroshima-u.ac.jp/~lcd/ TEL & Fax: 0824-24-6764 **************************************************
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