豊田@立教大学です Toyoda Hideki <toyoda (at) rikkyo.ac.jp> さんは書きました: >豊田@立教大学です >バランスの取れていない分散分析の解釈に関してどなたかに教えてください. 皆様,興味深い議論をありがとう御座います.いろいろ勉強になりました.特に "Haebara, T." <haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp> さんは書きました: >有意かどうかというのは,セル内の分散の大きさやサンプルサイズも関わって >きて,話が難しくなってきます。アンバランスの問題は基本的には平均値差の >評価の問題だと思いますので,検定よりも推定という文脈で考えたほうが分か >りやすいと思います。 中略 これ以下の部分がとても参考になりました,例をアレンジして自分の講義の中で ,毎年学生に話して聞かせようと思います.また "Haebara, T." <haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp> さんは書きました: >Toyoda Hideki さんが以下のように書いています: >》アンバランスな要因が多くなるといずれにせよ解釈が困難になるのではないか. >その通りだと思います。 と相づちうってもらったので,自分の中での疑問はほとんど晴れました. 南風原さんの挙げた例は,(説明を分かり易くする為に)アンバランスの例の中 でもバランスがとれているほうです.自分で,もっと複雑な例を自分で作って 解釈を試みたのですが,実際の研究に登場するほど不規則にアンバランスで,水 準数,要因数の多いものは,「平均値の差」を発達心理学的に知覚できるもので なくなるということが,よく分かりました.回帰分析の10分類みたいなことを してフローチャートを辿ると解釈できるようなものを作りたかったのですが.. ...一時撤退することにしました. マニュアルに「アンバランスでも計算可能」と書いてあっても,それは「セルご とにほんの少し繰り返しが違っても計算ができる(昔のソフトはできなかった). そういう場合は近似的に教科書風に他の要因と独立に平均値の差を解釈できる」 のように解釈すべきで,本質的にアンバランスなデータの平均値の差を,他の要因 と独立に解釈してよいということではない. それなら他の要因の情報とリンクさせて解釈する正当な方法があるのかといえば,そ れを書いてある教科書は,多分ない.なぜないのかというと,複雑すぎて解釈でき ないからなのでしょう.外れくじばかりのIからIVの中から選ぶのではなく,別の 方法をすすめることにします. "Haebara, T." <haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp> さんは書きました: >交互作用が入ってくる分,重回帰分析や斜交因子分析 >の解釈以上に難しいと言えるでしょう。 これもなるほどと思いました.解釈フローチャート分類を作ろうとするときの障害 は,(多水準の場合にとくに)交互作用の融通無碍さにあると思いました. 1つ関連話題を提供いたします.重回帰分析の場合は,ほんのちょっとした制約を 課すと交互作用項を入れても,解釈が複雑になりません. z = a + bx + cy + dxy + e のような交互作用項 xy を含むモデル(x と yは平均0にしておきます)を考えます. x と y が2変量正規分布に従っているとすると,xと xy, y と xyは無相関になり ます(semのソフトでそういう制約をいれます.だから2変量正規分布に従っていな いと適合度が下がりますので,それを利用して仮定のチェックをします).したがっ て交互作用の説明率は標準化したdの2乗で簡単にもとまります.xとyには相関があ りますが,相関のある予測変数が2つまでの場合は「10分類」を参照すれば解釈で きます. 1つ例をあげます.今年,私の指導で卒論を書いた学生のデータで z:集団依存・同調性 x:自信のなさ y:孤独感 というのがあり,計算したところ,bは正,cはほぼゼロ,dも正という結果を得まし た.他の要因と独立に解釈できるdの(交互作用の)効果とは,すなわち「自信がな くて孤独な人は集団依存・同調性が高いが,自信があって孤独でない人も集団依存・ 同調性が高くなる傾向がある」ということであり,小数の後者がサークルなどのリ ーダーに成るのではないかと,指導者は集団依存するのではないかと..と解釈し ました. -- ---------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor, Department of Sociology TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo(St.Paul's)University toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan ----------------------------------------------------------------------
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