南風原@東大教育心理です。 変数の積を予測式に入れることによって,交互作用を表現・評価 する方法が紹介されましたが,2点ほど質問させてください。 Toyoda Hideki さんが以下のように書いています [fpr 1406]: 》1つ関連話題を提供いたします.重回帰分析の場合は,ほんのちょっとした制約を 》課すと交互作用項を入れても,解釈が複雑になりません. 》 》z = a + bx + cy + dxy + e 》 》のような交互作用項 xy を含むモデル(x と yは平均0にしておきます)を考えます. 》x と y が2変量正規分布に従っているとすると,xと xy, y と xyは無相関になり 》ます(semのソフトでそういう制約をいれます.だから2変量正規分布に従っていな 》いと適合度が下がりますので,それを利用して仮定のチェックをします).したがっ 》て交互作用の説明率は標準化したdの2乗で簡単にもとまります. 質問1:説明変数間の相関が問題になるのは標本のレベルであって,母集団の レベルではないと思います。したがって,2変量正規分布においてxyがxお よびyと無相関になるとしても,そこから得られた標本では必ずしも無相関に はならないので,xyの説明率を上記のように単純に求めることはできないの ではないでしょうか。 》1つ例をあげます.今年,私の指導で卒論を書いた学生のデータで 》z:集団依存・同調性 》x:自信のなさ 》y:孤独感 》というのがあり,計算したところ,bは正,cはほぼゼロ,dも正という結果を得まし 》た.他の要因と独立に解釈できるdの(交互作用の)効果とは,すなわち「自信がな 》くて孤独な人は集団依存・同調性が高いが,自信があって孤独でない人も集団依存・ 》同調性が高くなる傾向がある」ということであり,小数の後者がサークルなどのリ 》ーダーに成るのではないかと,指導者は集団依存するのではないかと..と解釈し 》ました. 質問2:z' = a + b(X-Xbar) + c(Y-Ybar) + d(X-Xbar)(Y-Ybar) という予測式 においてdが正になることをもって,集団の平均からの偏差がxもyもプラスで 積がプラスになる人(自信がなくて孤独な人)と,偏差がxもyもマイナスで積 がプラスになる人(自信があって孤独でない人)が,zに関して同様な傾向をも つと解釈していますが,このような解釈は妥当でしょうか。予測式を仮にxとy の素点を用いて z" = a' + b'X + c'Y + d'XY とすると,d' = d となると思い ますが,この後者の予測式からは上記のような解釈は出て来ないですよね。前者 の予測式は予測曲面においてなんら特別な点でない (Xbar, Ybar) に何か特別な 意味があるかのように思わせ,解釈を誤らせる危険があるように思うのですが...。 --- 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 〒113-0033 東京大学 大学院教育学研究科 TEL:03-5802-3350 FAX:03-3813-8807
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