[fpr 1416] 重回帰の交互作用

豊田秀樹

豊田@立教大学です


私的伝言を以下に少し書きます.興味に応じて適当に読飛ばして下さい
ここから========================================================
豊田のホームページ
http://ir.sr.rikkyo.ac.jp/~toyoda/
http://www.ir.rikkyo.ac.jp/~toyoda/
http://toyoda.rikkyo.ac.jp/toyoda.htm
は,このたび閉鎖することになりました.ご愛顧ありがとうございまし
た.再開の予定は今のところありません.リンクを張って下さっている
方は,お手数ですが削除してください.また
toyoda (at) rikkyo.ac.jp
のメールアドレスは 3月12日以降使用しなくなります.これにともない
数日後に fpr ML より退会いたします.これまで議論を通じて多くのこ
とを教えて下さったMLのメンバーに御礼申し上げます.そのうち戻っ
て来ます,そのときはまた宜しくお願いします.ひとまず,さようなら
です.お元気で.
=========================================================ここまで

交互作用項 xy を含むモデル
z = a + bx + cy + dxy + e 
は,xとyとxyを(場合によってはzも)因子(潜在変数)として表現する
ことができます.話が複雑になるので省略していたのですが,私は4つの
変数を潜在変数として計算していました.共分散構造モデルにおける非線
形・交互作用の扱いは,
Etezadi-Amoli, J., \& McDonald, R. P.  (1983).  
A second generation nonlinear factor analysts.  
{\it Psychometrika,} {\bf 48}, 315-342. 
や
Kenny, D. A., \& Judd, C. M.  (1984).  
Estimating the non-linear and interactive effects of latent variables.  
{\it Psychological Bulletin,} {\bf 96}, 201-210. 
などで提案されました.どちらも直接観測することのできない構成概念の
観測変数に対する非線形な影響,交互作用的な影響を推定するモデルです.
ただし80年代のこれらのモデルは理論的には興味深いものであっても,応
用的にはあまり注目されませんでした.当時の応用環境の水準では道具立
てが複雑であったためです.また解釈的含意という点からもモデルの数理
的な性質が必ずしも明確でありませんでした.

90年代半ばになり,手軽に扱う方法が相次いで提案されました.まず
Bollen, K. A.  (1995).  
Structural equation models that are nonlinear in latent variables: 
A least squares estimator.  In Marsden P. V.  (Ed. ) 
{\it Sociological methodology} 1995 (Vol.  25, pp.  223-251).  
Oxford, England: Basil Blackwell.
が道具的変数を利用した方法を発表し,
Bollen, K.  A., \& Paxton, P.  (1998). 
Interactions of latent variables in structural equation models.
{\it Structural Equation Modeling}, {\bf 5}, 267-293.
で一応の完成をみています.この方法は,SEMのSWではなく2段階最小2乗
法のSWを用いて,手軽に非線形・交互作用の効果を調べられるばかりでな
く,非線形・交互作用の具体的な形状にも拘束されない方法です.

またPing, Jr. R. A.  (1996). 
Latent variable regression: A technique for estimating interaction 
and quadratic coefficients. 
{\it Multivariate Behavioral Research,} {\bf 31}, 95-120.
は,事前情報として変数の信頼性を用いる方法を,
Ping, Jr. R. A.  (1996). 
Interaction and quadratic effect estimation: a two step technique 
using structural equation analysis.
{\it Psychological Bulletin,} {\bf 119}, 166-175. 
ではSEMのSWで2段階に分けた推定法を提案しています.これらの方法は道具
立てが易しいので応用的に利用しやすい方法です.SEMにおける非線形・交
互作用モデルを専門に論じた成書
Schumacker, R. E., \& Marcoulides, G. A. (1998).
{\it Interaction and nonlinear effects in structural equation modeling}
 Hillsdale, N.J.: Lawrence Erlbaum Associates.
も出版されており,益々発展する分野であると思います.

現在のところ真打は,何といっても
J\"oreskog, K. G., \& Yang, F. (1996). 
Nonlinear structural equation models: the Kenny-Judd model with 
interaction effects. in pp. 57-88. Marcoulides, G. A. , \& 
Schumacker, R. E.  (Eds. ) (1996). 
{\it Advanced Structural Equation Modeling: Issues and Techniques.}  
Hillsdale, N. J. : Lawrence Erlbaum Associates. 
です.この方法は Kenny \& Judd(1984)の方法を洗練したものであり,従来型
の共分散構造モデルの素直な拡張になっており,統計モデルとしての役割も明
確です.CALISやLISRELなどのソフトだけで実行できるのも便利です.

--
----------------------------------------------------------------------
TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
----------------------------------------------------------------------

スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。