有光@関西学院大です。
知人の論文の審査中に、「1因子あたりに適切な項目数は、一般的に3以上である」
ため、
「第3因子が2項目からなるのは、本来不適切・・・」という趣旨のジャッジからの
コメントがありました。
実際の論文中の因子分析では、21項目、200名程度のサンプルで、主因子法、promax
回転を行い、想定した3因子を得ました。そのうち、第3因子には4項目が負荷しま
したが、単純構造を示した項目が2つしかなく、その2項目のみをその後の分析(他
の変数との相関など)に用いたところ、上述のコメントが来たというわけです。
>
> とりあえず,コメントすると判断するのに必要な条件がきちんとかかれていませ
ん.
> 直交回転か斜交回転かということも書いていないし,2項目で云々ということで
突っ張るには,共
> 通性についての記述がないとまったく意味がないです.そのほか必要なことがあり
ますが,
> もう少しいってもいいのですが,とりあえず足りない点を補充してください.
言葉足らずでお手数をかけ申し訳なく思っております。
以下が質問にあげた21項目、n=224、主因子法、斜交promax回転後の因子パターン行
列および共通性、因子間相関です。
F1 F2 F3 h2
0.79 -0.06 -0.10 0.53
0.77 -0.31 0.20 0.50
0.67 0.29 -0.29 0.66
0.64 -0.09 0.34 0.58
0.64 0.32 -0.27 0.65
0.56 0.30 -0.06 0.56
0.48 0.20 0.20 0.53
0.47 0.37 0.04 0.58
0.39 0.28 0.11 0.42
0.39 0.39 0.14 0.58
0.30 -0.12 -0.02 0.06
-0.07 0.79 0.16 0.66
-0.04 0.71 0.26 0.67
-0.34 0.71 -0.07 0.32
-0.02 0.70 0.01 0.47
0.05 0.59 -0.17 0.34
0.23 0.51 0.11 0.53
0.35 0.44 -0.03 0.48
0.07 0.13 0.61 0.49 *
0.16 0.20 0.57 0.57 *
0.15 0.10 -0.41 0.15
因子寄与
2.50 2.35 1.21
6.58 6.49 2.72
因子間相関
F1 F2 F3
F1 -
F2 0.60 -
F3 0.34 0.33 -
第3因子で共通性が高く単純構造を示した2項目(*)のみをその後の分析に用いま
した。
Velicer & Fava(1998)の論文を読んだところ、1因子に負荷する項目が3つの場合
でも、サンプルが多く負荷が高い場合にHeywood caseがおこりやすく、「結果の再現
性に乏しい」ように思えました。2項目であればさらに再現性は悪化すると想像でき
ます。
論文を読んだ結果、1因子あたり2項目でその後の分析を押し進めるべきではないと
いう考えに至りました。
しかし、堀先生のご発言を解釈すると、共通性次第で2項目で突っ張れるようにも思
えます。
fpr1381にも「共通性が飽和していないと再現の可能性は低い」というご発言があり
ますし・・・
浅学でそのあたりのことがよくわかりません。論文などご紹介いただければ幸いで
す。
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