[fpr 1456] Fw: 1因子あたりの項目数?

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

有光 興記さん wrote ;

>>>Velicer & Fava(1998)の論文を読んだところ、1因子に負荷する項目が3つの場
>>>合でも、サンプルが多く負荷が高い場合にHeywood caseがおこりやすく、「結果の
>>>再現性に乏しい」ように思えました。2項目であればさらに再現性は悪化すると想
像
>>>できます。
>
>> ちょっと理解を確かめるために,高いとはなにが高くてどの程度を高いといってま
>> したか?
> 
>論文には、項目数が3の場合に加えて、「因子負荷量が.40と低い場合にも」
>Heywood caseが起こりやすいと書いてあります。
>文の意図は、「因子に負荷する項目が3つのときは、サンプルが多く負荷が高く
>てもHeywood caseが4,5項目のときに比べて比較的おこりやすい」というもの
>です。
>この理解でよろしいでしょうか。

どうも今考えると助詞の使い方に引っかかっていたようです.
それで,2項目では問題あると理解していただけたものと思います.

p243
Variable Samplilng

 Variable sampling has a critical effect on the interpretation of factor 
patterns. Under the best conditions, the minimum of three variables per factor 
or component is critical.

と明快にいってます.

Velicer & Fava(1998)のこの論文では,識別性の点にも触れています.

ついでに,次の論文もこの問題と絡んでいます.

MacCallum et al.(1999) では負荷量ではなく,共通性が重要であるということを理論
的にいってます.影響するのは,共通性,サンプル数,因子あたりの変数の数.

あとのシミュレーションの実験計画がどうも疑問で,果たしてそれぞれの重要度を決定
するものとはいえそうには思えません.もっとも,共通性が重要というのはこの実験で
もわかります.

Marsh et al.(1998) は検証的因子分析の話ですが,1因子あたりの変数の数が多けれ
ばいいということをシミュレーションで示しています.

もし,因子分析だけで攻めているなら,尺度に使う項目だけでの因子分析はやっている
のでしょうか? Cronbach のαを求めているのかなども疑問としてでてきますが,2
項目では問題だと考えれば,今更これをする必要はありませんね.


MacCallum, R. C., Widaman, K. F., Zhang, S., & Hong, S.(1999). Sample size in 
factor analysis. Psychological Methods.  Vol 4(1) 84-99. 

Marsh, H.W., Hau, K.-T., Balla, J.R., & Grayson, D.(1998).Is more ever too 
much? The number of indicators per factor in confirmatory factor analysis.   
Multivariate Behavioral Research. Vol 33(2) 181-220 

なお,P. Barrettの
Personality and Forensic Psychology: Picking up the pieces after Ziskin,
Michell, Maraun, and Kline.
http://www.liv.ac.uk/~pbarrett/present.htm#ECP9
のプレゼンテーションなどは過激な説を集めたものになっていて,因子分析の尺度作り
など吹っ飛んでしまうかもしれません.危険かな.
ほかのプレゼンテーションもおもしろい.

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