堀@香川大学経済学部です。 有光 興記さん wrote ; >>>Velicer & Fava(1998)の論文を読んだところ、1因子に負荷する項目が3つの場 >>>合でも、サンプルが多く負荷が高い場合にHeywood caseがおこりやすく、「結果の >>>再現性に乏しい」ように思えました。2項目であればさらに再現性は悪化すると想 像 >>>できます。 > >> ちょっと理解を確かめるために,高いとはなにが高くてどの程度を高いといってま >> したか? > >論文には、項目数が3の場合に加えて、「因子負荷量が.40と低い場合にも」 >Heywood caseが起こりやすいと書いてあります。 >文の意図は、「因子に負荷する項目が3つのときは、サンプルが多く負荷が高く >てもHeywood caseが4,5項目のときに比べて比較的おこりやすい」というもの >です。 >この理解でよろしいでしょうか。 どうも今考えると助詞の使い方に引っかかっていたようです. それで,2項目では問題あると理解していただけたものと思います. p243 Variable Samplilng Variable sampling has a critical effect on the interpretation of factor patterns. Under the best conditions, the minimum of three variables per factor or component is critical. と明快にいってます. Velicer & Fava(1998)のこの論文では,識別性の点にも触れています. ついでに,次の論文もこの問題と絡んでいます. MacCallum et al.(1999) では負荷量ではなく,共通性が重要であるということを理論 的にいってます.影響するのは,共通性,サンプル数,因子あたりの変数の数. あとのシミュレーションの実験計画がどうも疑問で,果たしてそれぞれの重要度を決定 するものとはいえそうには思えません.もっとも,共通性が重要というのはこの実験で もわかります. Marsh et al.(1998) は検証的因子分析の話ですが,1因子あたりの変数の数が多けれ ばいいということをシミュレーションで示しています. もし,因子分析だけで攻めているなら,尺度に使う項目だけでの因子分析はやっている のでしょうか? Cronbach のαを求めているのかなども疑問としてでてきますが,2 項目では問題だと考えれば,今更これをする必要はありませんね. MacCallum, R. C., Widaman, K. F., Zhang, S., & Hong, S.(1999). Sample size in factor analysis. Psychological Methods. Vol 4(1) 84-99. Marsh, H.W., Hau, K.-T., Balla, J.R., & Grayson, D.(1998).Is more ever too much? The number of indicators per factor in confirmatory factor analysis. Multivariate Behavioral Research. Vol 33(2) 181-220 なお,P. Barrettの Personality and Forensic Psychology: Picking up the pieces after Ziskin, Michell, Maraun, and Kline. http://www.liv.ac.uk/~pbarrett/present.htm#ECP9 のプレゼンテーションなどは過激な説を集めたものになっていて,因子分析の尺度作り など吹っ飛んでしまうかもしれません.危険かな. ほかのプレゼンテーションもおもしろい. ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 電話番号 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部)
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