[fpr 1470] 多数回の検定

岡本安晴



  岡本@金沢大学です。

  "[fpr 1466] 一対比較法について"より:

>一意性の係数が10名のち8名は有意であ
>るという結果が導けました。

  一対比較がサーストンのモデルに従って行われると
すると、比較判断にはランダムな変動が伴うことに
なります。
  一意性の検定において、このランダムな変動を
考えると、サーストンのモデルに従って比較判断を
行う人は、100%の確率で一意性の検定で有意に
なるとは限らないということになります。すなわち、
検出力が100%でないということです。
  10人の人に個別に一意性の検定を行ったとき、
10人全員が有意になる確率を独立性を仮定して
求めてみます。

  0.999**10 = 0.99
  0.99**10  = 0.90
  0.9**10   = 0.35
  0.8**10   = 0.11

となりますから、検出力が90%のときは10人全員が
有意になる確率は約35%です。検出力として普通用い
られる80%の値のときは10人全員が有意になる確率
は約10%です。
  つまり、10人全員が本来一意性の検定で有意になる
はずの場合でも、1人や2人が有意にならなくても
不思議ではないということになります。

  検定を多数行うときは注意が必要です。


金沢大学文学部
岡本安晴





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