谷口@大院大です。 別に反論というわけでもないのですが、岡本さんが 念頭に抱いている「情報処理教育」は、比較的恵まれた 教育環境におられる方の発想だなぁ、と思いました。 言われることはよく分かります。それが成立するなら、 その方がより高度な教育といえるでしょう。 しかし、すでに大幅な定員割れを起こしている私立の 短期大学などで情報処理実習を担当してみると、それが ほとんど夢また夢の世界であることが分かります。 彼女らは、すべてではないにしても多くが中小企業の 単純事務職に就きます。そこでは、ワード、エクセル、 財務処理、顧客管理などのアプリケーションを使って、 しかも、定型フォームでの入出力が主な作業になります。 彼女らを実質1年で、とりあえず「使える」ようにしなければ なりません。そして、50人実習生がいたとしたら、 半期の実習でとりあえず言われたことを自力でできるように なるのが1/3、サポートしてやってできるのが1/3、結局 ほとんど何もできないのが1/3なのです。 ほんの数年前までは、私の勤務先でもワープロの実習は 「増加単位」、つまり、卒業単位にはカウントしないもの でした。しかし、現在ではパソコン関係の授業はすべて 卒業単位にカウントされます。なぜか。そうしないと、 卒業単位が足りなくなるからです。 彼女らにフォートランとか教えることにどういう意味が あるのでしょうか。短大生には、教養とか応用力など ほとんど期待されていないのです。差別するわけではなく、 これは単に実態を述べているだけです。 > パソコンでのワープロやWWWブラウザの操作と、プロ >グラミングでは授業の内容が異なります。後者はプロ >グラムの作り方であり、前者は作られたプログラムの >使い方です。大学での情報処理教育は後者を目指すべき >であると思います。 結局、大学なり短大なりを、どのような教育をおこなう 機関として位置づけるかにかかってくるのではないでしょうか。 すでに偏差値50程度までの私大、短大は、かつての職業高校 (商業高校とか工業高校とか)に相当するのではないかと 思います。それは善し悪しの問題ではなく、実態としてそう なっている以上、それに対応した教育サービスをおこなう 必要があると、私は考えます。 そこでの情報処理教育は、プログラムの作り方ではなく、 「ふつうの」アプリケーションを使って、いかにデータを 扱っていくか、いわば情報活用能力の育成をめざすべきです。 と、大きく出たものの、まぁ、エクセルで住所録と家計簿が 作れて、ワードで年賀状が作れて、エクセルのデータを差し 込み印刷できれば、上出来です。もう一歩踏み込んで、 住宅ローンの返済シュミレーションとか。 で、あとは遊びだけでなく、仕事や勉強に必要な情報を的確 にWWWで検索できればいい。 これでも、結構難しいんですよね。。。 ちょっと長くなりました。 _/_/_/_/_/ (^o^)/~~ 谷口 高士 [大阪学院短期大学:心理学] _/ e-mail: takashi (at) mbox.kyoto-inet.or.jp _/ http://web.kyoto-inet.or.jp/people/takashi/
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