[fpr 1485] 作り方と使い方

谷口高士

谷口@大院大です。

別に反論というわけでもないのですが、岡本さんが
念頭に抱いている「情報処理教育」は、比較的恵まれた
教育環境におられる方の発想だなぁ、と思いました。

言われることはよく分かります。それが成立するなら、
その方がより高度な教育といえるでしょう。

しかし、すでに大幅な定員割れを起こしている私立の
短期大学などで情報処理実習を担当してみると、それが
ほとんど夢また夢の世界であることが分かります。

彼女らは、すべてではないにしても多くが中小企業の
単純事務職に就きます。そこでは、ワード、エクセル、
財務処理、顧客管理などのアプリケーションを使って、
しかも、定型フォームでの入出力が主な作業になります。

彼女らを実質1年で、とりあえず「使える」ようにしなければ
なりません。そして、50人実習生がいたとしたら、
半期の実習でとりあえず言われたことを自力でできるように
なるのが1/3、サポートしてやってできるのが1/3、結局
ほとんど何もできないのが1/3なのです。

ほんの数年前までは、私の勤務先でもワープロの実習は
「増加単位」、つまり、卒業単位にはカウントしないもの
でした。しかし、現在ではパソコン関係の授業はすべて
卒業単位にカウントされます。なぜか。そうしないと、
卒業単位が足りなくなるからです。

彼女らにフォートランとか教えることにどういう意味が
あるのでしょうか。短大生には、教養とか応用力など
ほとんど期待されていないのです。差別するわけではなく、
これは単に実態を述べているだけです。

>  パソコンでのワープロやWWWブラウザの操作と、プロ
>グラミングでは授業の内容が異なります。後者はプロ
>グラムの作り方であり、前者は作られたプログラムの
>使い方です。大学での情報処理教育は後者を目指すべき
>であると思います。

結局、大学なり短大なりを、どのような教育をおこなう
機関として位置づけるかにかかってくるのではないでしょうか。
すでに偏差値50程度までの私大、短大は、かつての職業高校
(商業高校とか工業高校とか)に相当するのではないかと
思います。それは善し悪しの問題ではなく、実態としてそう
なっている以上、それに対応した教育サービスをおこなう
必要があると、私は考えます。

そこでの情報処理教育は、プログラムの作り方ではなく、
「ふつうの」アプリケーションを使って、いかにデータを
扱っていくか、いわば情報活用能力の育成をめざすべきです。

と、大きく出たものの、まぁ、エクセルで住所録と家計簿が
作れて、ワードで年賀状が作れて、エクセルのデータを差し
込み印刷できれば、上出来です。もう一歩踏み込んで、
住宅ローンの返済シュミレーションとか。
で、あとは遊びだけでなく、仕事や勉強に必要な情報を的確
にWWWで検索できればいい。

これでも、結構難しいんですよね。。。

ちょっと長くなりました。

_/_/_/_/_/  (^o^)/~~   谷口 高士  [大阪学院短期大学:心理学]
   _/                  e-mail: takashi (at) mbox.kyoto-inet.or.jp
  _/             http://web.kyoto-inet.or.jp/people/takashi/

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