廣島と申します。 こちらへは、お初にお目にかかります。 某官庁で、安全管理関連の調査・研究・教育に従事しています。 》[fpr 1586] What does mean " critical" ? 》とりあえず、先述の事故に関しては、物理学ど素人なりの理解としては、 》 …中略… 》を持ち合わせてはおりませんので、どの程度まで「教育学」的に 》思案したらよいのか自体、考えあぐねております。 》そのへん、どうなんでしょうか? 安全を実現する為の教育訓練については、 どの分野であれ、 幾つかのお決まりの構成方法と問題点があります。 まず、 作業全般がどれほど定式化され、ドキュメントもしっかりできているか、 によって、教育訓練の内容ややり方は変わります。 作業が定式化され、標準化されている程、 教育訓練は楽になります。 例外が生じた場合(それは大抵、事故に至る寸前なのですが)、 どうしたら良いかの訓練も楽になります。 定式化ができない場合の対処に関わる教育が、 より多くの問題を抱える部分になります。 どのような作業に関してであれ、お決まりの問題点の第1は、 「同じ内容を反復して教育しようとすると、聞き流される」 点にあります。 お決まりの問題点の第2は、 「内容を咀嚼し、自分の業務に応用して考える必要がある事項は、 実行されない」 と言う点にあります。 尤も、 これは組織全体として作業標準をきちんと作れない事の裏返しの面もあり、 分けても昨今、ISO 9000,14000等の”抽象的な”スペックに関連して、 日本が遅れを取っている事と裏腹の事です。 そこそこ賢く、お互いの団結(≡お互いの情報交換)が緊密だった日本社会 に依存しすぎたツケが来ています。 お決まりの問題点の第3は、 「被教育者のレディネスの幅が大きい」 と言う点にあります。 専攻と偏差値と年齢が概ね均一な学生を講義する大学の先生方は、 幸せです。 そして卒業生は、同じ大学でも基礎学力や知識の面で、大きな分散を伴って 入社等してくれる訳です。 昨今は大学の制度の変化により、 何を勉強したのかさえも判然としない卒業生が大挙してやって来る事態 になりつつあります。 お決まりの問題点の第4は、 「作業標準として確立していない事項についての教育の場合、 受講生が尊大である」 と言う事にあります。 「作業標準を教育してくれるのでないなら、そんなものは役に立たない」 と言う事です。 例外に対応する為とか、作業標準を作る立場の人を作る教育の場合でも 容赦がありません。 上から命令されるのが当然、普通、と思うような組織風土があると、 こうなります。 さて、最後に統計の話に繋げておいて、お仕舞いにします。 ある意味では、”安全”に固有な教育も、領域も存在しません。 全てが安全に関わって来ます。 ですから、特に安全に固有な事と言えば、 「リスクを意識する」 と言う事に尽きるのではないかと考えています。 この観点からすれば、”統計マインド”がある事は、 非常に重要であると考えています。 大抵の分野では、 ごりごりの素朴決定論と、それが裏切られた時の諦め・嘲笑・怒り により、 ある意味では安定して、ある意味ではぎくしゃく動いているのですから。 ========================================= | hirosima (at) h.email.ne.jp | | http://www.asahi-net.or.jp/~BD2K-HRSM | | 廣島克佳 | =========================================
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