[fpr 1661] IRTセミナー

豊田秀樹

豊田@早稲田心理です

Kazuo Shigemasu さんは書きました:
>IRTセミナー
>毎年小規模ながらIRTの理論と実践について、研究会を開いていますが、
>第8回のセミナーを春の合宿セミナーの一環として、開催することにな
>りました.現在発表者を募集中です.繁桝までご連絡くだされば幸です.

上記の呼びかけに応じてIRTセミナー(1)
4月1日(土)愛知学院大学日進キャンパス3号館 午前 10:00 ~ 12:15
IRTセミナー(1)オーガナイザー:繁桝算男(東京大学)野口裕之(名古屋 大学) 
http://www.aichi-gakuin.ac.jp/%7Echino/sem2000/first_hp.shtml
において研究発表を致します.演題は
『共分散構造分析は、IRT、直交表、コンジョイント分析すら統合してしまうのか?』
というもので,午前中の狩野さんの演題
「共分散構造分析は,パス解析,因子分析、分散分析のすべてにとって代わるのか?」
に呼応し,援護射撃をする?という趣旨です.チュートリアルではなくて
オリジナルの研究発表ですが,もっと心理学の研究分野では直交表を使用
すべきであるという持論とともに,直交表とコンジョイント分析の入門的
解説もいたします.
『要旨』
米国・ヨーロッパにおけるCBT(Computer based testing)の発展の影響を受
け,世界的にIRT(item response theory, Lord & Novick, 1968)によるテ
ストマネジメントが標準になりつつある.しかし日本では,相変わらず旧
態然とした標準テストが主流であり,残念ながら,完全に世界の趨勢から取
り残されている.原因は幾つか考えられるが,最大の要因の1つは,テスト
項目の使用は1回限りであり,繰り返し使用してはならないという項目使い
捨て主義とでも命名できる社会的認識が我が国にあるためである.特定な
心理的特性を測るための良問の数には限りがあり,根本的には項目使い捨
て主義を改めることが望ましいが,現時点において,その社会的認識を容
易に変えられない以上,実施して既知となった項目の母数から未使用の項
目の母数を組織的に構成する仕組みを作ることが,我が国におけるIRTによ
るテストマネジメントを広めるための有効な一助となる.
 評定した(実施した)製品(項目)の属性の性質を記述する母数を推定し,
その母数の組み合わせから評定していない製品の効用を組織的に評価する
方法にコンジョイント分析法がある(片平, 1987).コンジョイント分析法
では,被験者がn個の製品の候補を好ましいものから,好ましくないものま
で並べたものを基準変数,製品(項目)の属性を予測変数として説明を行
う(朝野, 1996).ただしコンジョイント分析法では,その製品群に対する
被験者の評価の甘さ・厳しさの個人差を扱うことができない.具体的には,
よほどの事が無い限り購入する被験者の第r位と,よほどの事が無い限り
購入しない被験者の第r位を非計量的に同じ値に変換してしまう.個人差
は全ての項目に亘って同様の影響を与えることが多く(学力,財布の紐の
固さ,責任感などは個人の特性として,全ての項目に亘って安定した反応
傾向を示すので),ランダムな要因と考えにくい.IRTのように個人差を表
現できるコンジョイントモデルのほうが one to one マーケティングの観
点からも望ましい.
 本発表では,直交表を利用して未使用の項目の項目母数を推定し,潜在
特性によって個人差を表現することが可能な(という意味で直交表とIRTの
良い面を統合した)コンジョイント分析法を構造方程式モデリング(SEM, 
structural equation modeling)で表現する.SEM の下位モデルとして表
現することによって,本提案は容易に実行可能になる.

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TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,         Department of Psychology
TEL +81-3-5286-3567               School of Lieterature, Waseda University
toyoda (at) mn.waseda.ac.jp    1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
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