[fpr 1716] SEMについて

豊田秀樹

豊田@早大心理です

Hiroaki Morita さんは書きました:
>神戸大学院生の盛田と申します。
>1.ある一つの潜在変数について、いくつかの観測変数を設定
>  するとき、例えば下記のように、既存の評価尺度でいくつ
>  かの質問の回答得点の合計点を指標とするものと、5段階
>  評定尺度を指標としたものを、一緒にその潜在変数の指標
>  としてしまっても良いのでしょうか。手引き書等を見ます
>  と、両タイプの指標を一緒につかっているのは、あまりな
>  いような気がするのですが。
>  ・潜在変数:ADLに対する意欲
>     ・指標:
>      A:患者の主観的意欲(既存評価表、合計点数)
>      B:医療職から見た客観的意欲(既存評価表、合計点)
>      C:家族から見た客観的意欲(独自に作成、5段階尺度)

統計モデルとしては,原則的には一緒にして構いません.
2点気になることは,こういう分散が異なる変数を一緒にすると
数値計算上収束しにくいということが有りますので,仮にデフォルト
で収束しないときは,上手に初期値をいれて下さい.
それから尺度に依存しない,最尤法(あるいは一般化最小2乗法)
を使って下さい.

>2.1指標条件のとき、既存の評価尺度の信頼性係数をもとに、
>  誤差分散および観測変数への影響指数を求めて固定するのだ
>  と思いますが、仮に上記の場合で、AとBの評価尺度の信頼
>  性係数がわかっていたとしたら、AとBの両方ともに誤差分
>  散と観測変数への影響指数を求めて固定しても良いのでしょ
>  うか。

はい,OKです..

>3.最尤法(AMOS)で安定した収束を得るためのひとつの目
>  安として、推定するパラメータの数が2√nを越えないよう
>  にすることと考えて良いのでしょうか。

安定した「収束」と母数の数は,直接的には関係ありません.
また母数の信頼区間と母数の数も明確な関係は見出せません.
多くして小さくなることも,少なくして小さくなることもあります.

>4.内生変数が受けるパスの数が3を越えると、収束が不安定に
>  なってしまうのでしょうか。

安定した「収束」と内生変数が受けるパスの数も,この場合
直接的な関係はありません.
構造変数から刺さるパスが3以上になると(誤差を含めて3を越えると)
パスの解釈は難しくなります.構造変数から刺さるパスが2本までなら,
拙著「共分散構造分析・入門編・第3章・第11章・朝倉書店」
の分類で自動的に解釈できます.

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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567             School of Lieterature, Waseda University
 toyoda (at) mn.waseda.ac.jp  1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
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