[fpr 1717] t検定の使い方について

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

re:[fpr 1712]

原論文は見ていません。

南風原さんの議論はおそらく,
Steiger and Fouldadi(1997). Noncentrality interval estimation and the 
evaluation of statistical models. in L.L.Harlow et al. "What if there were no 
significance tests? ". LEA. 

を踏まえたものと思います。

Steiger and Fouldadiによると,一般の検定で行っているのは,
reject-support(RS)(つまり,帰無仮説が受け入れられない場合が研究者に仮説に一致
する)。もう一つが今回の場合のaccept-support(AS)(つまり,帰無仮説を受け入れる
場合が研究者の仮説に一致する)。

ASについては抵抗があることが予測されますが,すでに,SEMでは利用されているも
のです。

>Cohen のいう中効果量(.5)に対しては,それを検出する確率は82%と,か
>なり高いですが,小効果量(.2)やそれより少し大きな .3 という程度の値
>に対しては,検定力は50%以下となっています。つまり,母集団において仮
>に .3 程度の効果量であらわされる差異が存在する場合でも,有意差が得ら
>れる確率は低く,むしろ有意差なしとなる確率のほうが高いということにな
>ります。言い換えれば,この場合,有意差がなかったとしても,母集団に.3
>程度の効果量に対応する差異が存在していることと矛盾する結果ではないと
>いうことです。となると,「差がないことが判明」という表現は,やや言い
>過ぎかと思います。

このあたりの議論は「ない」といえる効果量がどの程度かを考える上で大いに参考にな
ります。


>この場合は,データから母集団平均値差や母集団効果量の信頼区間を算出し,
>それを,実質的に差がないと言ってよいかどうかという観点から評価するの
>が良いのではないかと思います。

F検定に関しては信頼区間を求めるSPSSのシンタックスを作っていますので,利用して
ください。

固定要因 分散分析の効果量の90%信頼区間を求める syntax 
http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/spss.html#intervalanova

なお,Steiger もソフト(1999)を作っているようですが,手に入れていません。

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堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail:  hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp
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