守@KR発行責任者です。 At 5:36 PM 00.9.25, MARUYAMA Takuro wrote: > KRの最新号(4号)に > >たとえば、小学校2・4・6年と学年が上がるにしたがって > >「性役割についての柔軟性」が高まるという研究結果は「かなりあやしい」と思 >われる > >。 > >(1)有意な差とはいえ、その差はわずかであること > > という記述がありました。 > 「有意差があるとはいえ、その差はわずか」という部分についてなんですが、 > 有意差を検定したとき、標本の平均値の差は母集団における平均値の差と > 一致(もしくは近似)するのでしょうか。 > まだ詳しい計算をしたわけではありませんが、 たとえば「職業の柔軟性」得点の差の有意性についていえば、 (1)被験者数が542人 (2)6項目のうち「両方」と答えた項目数/6の平均値がほぼ0.25くらい (3)SDが明記してないが、上記の平均値と6項目を見ると、 おそらくほとんどの子どもが1点か2点だったと考えられるので、 SDは0.08程度でしょう。 これらを基に検定力を考えると0.01〜0.02くらいの差でも検出できそうです。 これをまた素点に戻すと、 130人から220人の群で、10〜20人程度が余計に「両方」と答えた程度です。 この程度のわずかな差を検出して 「職業に対する柔軟性が高まる」と結論するのは言い過ぎだと思うのです。 6項目しかないのですから、 項目ごとに「どの項目が男女どちらでもいいと考えられるようになるのか」 を調べる方が現実がよくわかっていいと思います。 後半の部分の質問は有意差検定を誤解しているのだと思います。 「標本の差」と「母集団における差」とは何の関係もありません。 有意差検定は、 「同じ母集団から取ったと仮定したとき、 標本にこれだけの差が出てきてしまう確率はどれくらいか」 を調べているだけです。 ------------------------------------------------------------------- 守 一雄@380-8544信州大学教育学部教育科学講座(これだけで郵便が届きます。) kazmori (at) gipnc.shinshu-u.ac.jp 電話 026-238-4214(ダイヤルイン・留守電) 『DOHC』『KR』発行元 Fax 026-237-6131(直通) http://zenkoji.shinshu-u.ac.jp/mori/hp-j.html -------------------------------------------------------------------
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