[fpr 1791] きゃーるが鳴くんで

南風原朝和

南風原です。

TOYODA Hideki さんからの引用:

> Toshio Yoshida さんは書きました:
> >基本的には,既に南風原さんが書いてくださったように,
> >「(予測の)役に立つ相関関係」を「因果関係」と呼ぶか否か
> >ということがポイントかと思います
> 
> いえ,そうではありません.もし「気圧が変化した
> から雨が降った」という表現が気圧計を見るという
> 行為を暗に含むなら,(もちろん含まざるを得ない
> ので)「きゃーるが鳴くんで雨ずらよ」と同等であ
> り前者を因果関係と呼ぶなら後者も呼ばねばならな
> い,という主張です.

この問題で「因果関係」と呼んでもよいと思われるのは,

(1) 気圧の変化 → 気圧計の針の振れ
(2) 気圧の変化 → カエルの鳴き
(3) 気圧の変化 → 降雨

の3通りではないかと思います((2)のほうはそういう因果関係が
あるかどうか,私にはよく分かりませんが)。

(1) と (2) のそれぞれ結果側の「気圧計の針の振れ」と「カエ
ルの鳴き」は,「降雨」の予測に役立つ可能性のあるものです
が,それら自体が原因となって「降雨」が引き起こされるという
メカニズムは考えにくいので,

(4) 気圧計の針の振れ → 降雨
(5) カエルの鳴き → 降雨

は因果関係とは呼ばないほうがよいと思います。(4) と (5) は
形式的には同じ「相関関係」です。それぞれが予測にどれだけ
有用かは,(1) と (2) の因果関係の強さ,言い換えれば,「気
圧の変化」の観測指標としての「気圧計の針の振れ」と「カエル
の鳴き」の妥当性によります。

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp  Tel/Fax:03-5841-3920
東京大学大学院教育学研究科 (〒113-0033 文京区本郷 7-3-1)


  

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